痴漢の手口

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

学生の頃、図書館で勉強していたときの話です。

勉強中、トイレに行きたくなったのですが、図書館に併設されているトイレは全部ふさがっていました。
そこで少し離れたところにある小さめの女性用トイレに向かいました。

2つある個室のうち1つは使われていたので、もう1つの方に。
しばらくして隣の個室にいた人が手を洗って外へ出て行きました。

トイレ出入り口の扉は非常口などに使われるような重い鉄製なので、開け閉めすると「ガシン!」という大きな音がするので分かりやすいのです。
女性が出て行ったすぐ後に、鉄の扉が静かに開閉されました。

その時、「アレ?」って思いました。

あれだけの重い扉なのにもかかわらず、開閉音が必要以上に静かな音、というよりも無音に近かったからです。

少し様子を伺っていたのですが、隣の個室が使われる気配はありませんし、化粧直しをしている様子も感じられません。
何となく薄気味悪くなり、個室のドアの隙間から外を覗こうと顔を近づけました。

扉の向こうにあったのは、人間の眼球でした。
個室の扉からほんの数センチまで近づき、中の様子を凝視している男性の眼をまともに見てしまいました。
私の眼との距離は扉の厚さを含めても、10cm以内だったと思います。

息も吸えないほど怖かったのですが、それでも勇気を振り絞って「チカーーーン!!!!!!!!!!!!」と叫びました。

チカンは脱兎のごとく逃げていきました。

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