今ではカルト宗教やっていた頃より幸せな毎日を送れてる

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

この時期になると毎年思い出すちょっとした心霊話。

俺=高校生。
小さな頃から霊感っぽいものがあったけど確信ないからネタにしていた。

姉=霊感なし、気が強い。

母親=霊感なし、ほんわかしすぎてて心配になる。

おじいちゃん。
母方の祖父。
既に他界しているが、何かと夢に現れて助けてくれる、母の守護霊。

師匠。
今回の出来事の功労者。
俺の霊感が確信に変わった人。
霊的な家系で、名前とか詳しいこと言ったら一発でバレるくらい凄い人。

父親。
離婚した父親。
某カルト宗教に俺たち家族が入ってしまったきっかけのクソ野郎。

大前提として俺には小さな頃から中2病の代名詞の一つといっても過言でもない霊感があった。
エピソードとしては以下。

1、おじいちゃんが死んだ時夢に出てきてわかった。
2、親友の亡くなった姉が家に来て、親友の事故を未然に防いだ。
3、友達が誰にも話したことない亡くなった兄弟を言い当てた。
4、仲良い先生の彼女の浮気相手の名前と、彼女が出入りするお店を当てる。
・・・etc

俺自身はそんなの皆に出来ることだと思っていたため、師匠に会うまでは当たり前だった。
そんな俺の家は某カルト宗教に入っており、俺が一番信仰心があったのが前提。
しかしこのカルト宗教は離婚した父親が田舎育ちの浄土真宗の母親と結婚した時、無理やり母親と生まれた俺らを入会させたものに過ぎなかった。

信仰心の強さといえば毎日数珠と経本を持ち歩いていた。
毎日祈りを捧げるが、今思えば母親曰く「取り憑かれたように俺だけが仏壇に向かっていた」と。

そんな俺はカルト宗教の教えをよく守っていたのだが、一つだけ変わっていたことがあった。
カルト宗教は他の宗教を邪教というのだが、寺や神社にどうしても心惹かれるんだ。
だけど境内に足を踏み入れると毎度必ず頭痛がし、帰って3日は毎回苦しみ続けるという不思議なことが起きたんだ。
そのせいで俺は高校生の頃には遠くから見るぐらいになっていた。

高校2年生になった7月。
俺はなぜか母親の職場の人たちと母親合わせて5人でBBQをすることになった。
そこで会ったのが、師匠だった。

すでに師匠に霊感があることは聞いていたが、師匠と話していたとき俺はふざけて「霊感あるんですよw」って言ったんだが、俺はそこで「君にはないよ」と否定して欲しかった。

しかし、返ってきたのは「気づいてたよ、しかもめちゃくちゃ強いね。今まで大変だったでしょ」というもの。
それからは俺の弾丸トークで、今まで体験したことを包み隠さず話した。
それらはすべて俺の気のせいなんかじゃなく、心霊体験だったと知り鳥肌だった。

帰り際師匠と連絡先を交換し師匠には「次会うときは聞きたいものを持って来な、あとこのお数珠は肌身離さず持ち歩きなさい」と手首にはめる石で出来た数珠?を、貰った。
貰ってつけた瞬間にはついていたクリスタルすべてにヒビが入り、師匠は苦笑いだった。

師匠と会った頃から、俺は毎晩家で寝ていると魘(うな)されるようになった。
毎日「シャンシャン」と坊さんが持つ棒みたいなの(三蔵法師が持ってるやつ)をついて歩く音が聞こえ、完全に寝不足。
それと同時に家の中にある俺の部屋に誰も入らなくなった。
例外なく、俺も少しずつ物をリビングに運び、完全に俺の部屋は締め切り状態になったのだ。
霊感のない母親と姉ですら「あんたの部屋気持ち悪い(失礼ww)」と言うようになった。

あまりにも寝不足が続き、俺は仏壇に祈る気も起きず少しずつ仏壇から離れるようになった頃、8月の初め俺はついに師匠と会うことになった。

会った場所は某ファミレスなんだが、俺を見た瞬間に師匠は察したらしく「家の中にあるもの、なんとかしようか」って言ってきた。
最初何を言われてるのかわからなかったが、師匠はカバンを指差し「今もずっと、カバンの中にある数珠と本の対象が俺を睨んでるんだよ」と言われた瞬間、俺の頭が痛くなった。
それと同時に目の前の師匠の顔がまるで何かに邪魔されたみたいにちゃんと見えなくなったのだが、「俺くんの顔を手で押さえつけてるよ」って言われた。
それを言われて俺は泣きながら「某カルト宗教ですか?」って言葉を吐いた。

「俺くんの家族でやり始めたことじゃなくて、君の離婚したお父さんが持ってきた宗教なんだね」

それからは早かった。
このことはまだ母親と姉に言うなと言われ、俺は1人で仏壇を家から出すために動かなければならないと激励されたのだ。
相手にしているものがヤバイとわかり、俺は震えが止まらないし、師匠も命をかけるとまで言うしでもうガチ泣き。
しかも最近眠れなかったのは、師匠に出会った俺が今まで自覚していなかった半端ない霊感を使いこなせるようになっちゃったから、仏壇に宿る悪霊?が暴れ出したからというものだった。
マジで中2病の最先端いっちゃってると思った。

しかもなんか俺霊視できたみたいで、誰も立ち入らなくなった俺の部屋には仏壇に宿る悪霊が部屋の真ん中に胡座かいて座ってるからだと聞かされた。
それがファミレスいるのに透視で見えるし、睨まれるしでもう発狂しそうだった。

その日はもう夕方だったが、このまま帰せないということになり、俺は師匠と共に氏神様のところに行かされた。
今まで行きたくても頭痛がするから我慢していた神社に、夜潜入することになったのだ。
本当は夜に神社行くのはダメらしいが、一刻を争うためとせめて俺には氏神様に面通しして加護をつけなきゃ殺されるかもとのことだった。
幸いにも見えるのは俺だけだったため、姉と母親は何も起こらなかった。

初めて行った氏神様は怖くて、なんかデッカい剣?持ってて、俺が頭を下げて挨拶をしようとしたら自分の名前も住所も言えないようにされてしまった。
というか、何一つ神様の前に立ったら思い出せなくなってしまったのだ。

師匠は祝詞を言い終えると、「今日守ってはくれるみたいだけどきちんと朝早く来て自己紹介するようにって、跳ね返されちゃったね」と笑った。
んで、次の日の日が昇ってすぐくらいに1人で40分近くかけて氏神様のところに行き、俺は挨拶をした。

次に俺がやらなければ行けなかったのは、俺の部屋に結界を張ることだった。
部屋の中に結界を張り、俺の部屋にいる奴を閉じ込めるというもの。
手順は省くが、師匠曰く「俺くんの霊感があれば出来るよ!」だった。
無茶言うな。

結界を張る日、俺は某水系の神社に連れて行かれた。
女の海の神様なんだが、そこで頂いた清められた「砂」を使い、結界を張った。

俺は水属性だから、水結界を張り閉じ込めることにしたんだが、奴らの方が一枚上手だった。
結界を張った次の日から俺は3泊4日の高校生のある研修に行ったのだが、帰ってきてすぐ確認したら結界は壊されていなかったのにたった5分、目を離したすきに俺の張った結界は壊されていた。

盛り塩みたいにしていた砂の一つが、砂を乗せた和紙は角にきちんとあるのにその上の砂がそのままの形で和紙の上から退かされていた。
イメージで言うと、テーブルクロスの上にあったものだけ引っ張ったみたいな感じ。
そしてまたその夜からラップ音やシャンシャンって音、足を引きずって歩く音なんかが聞こえてきて俺は眠れない日々に逆戻りした。

師匠にそれを相談すると、今度は家の中すべてに結界を張るように言われた。
しかし、それをやるには母親と姉の許可がいる。
そのため俺は今回の一連の出来事と理由を話すことにした。

母親と姉を仏壇のある部屋に呼び、俺が眠れない日々を過ごしているのはこの仏壇に宿る悪霊のせいであること、俺らが今まで信仰していたものこそが邪教であること。
俺の部屋に皆が行かなくなったのは、それに宿る悪霊が俺の部屋にいるからだということ。
男泣きしながら話すが、霊感のない母親と姉は理解できず「気持ち悪い変なこと言わないで」の一点張り。
怒鳴り合いになった。

その間俺の部屋からは男の笑い声が聞こえてきて、家族喧嘩に腹を抱えて笑っているのが透視で見えた。
姉は信仰心が1番あった俺を罵倒し、母親は何を言ってるのかわからず茫然としているし、もうカオスだった。

俺は大号泣で「なんでお前らには見えないんだよ、なんでこの笑い声が聞こえねぇんだよ!今もずっと、ここで俺らを見てるだろ!」って悪霊の側近?っていうの?シャンシャン鳴らしていた奴が横にいたから指差して喚いたんだが「やめて!」って母親に怒鳴り返された。

その時俺は、これ以上このカルト宗教を姉と母親が続けると言うのなら俺はこの家から高校やめてでも出て行こうと思った。
それに関しては見えるもの同士、何かあった時の面倒は見ると師匠が約束してくれていたのだ。
師匠は必ず上手くいくと言っていたが、結果的に信じてもらえず大喧嘩になったため、俺は諦めようとしていた。
俺が助かるために、姉と母親を見捨てようと思ったんだ。

その日の夜もシャンシャン鳴るしパキパキ弾けるみたいなラップ音がしていて、俺は眠れなかった。

次の日目が覚めると、母親はおじいちゃんの夢を見たと言ってきた。
おじいちゃんが「俺のことを信じてあげなさい」と言い、最後に「すまなかった」と謝ったそうだ。
その時聞かされたのだが、カルト宗教に入ることを許したのは嫁ぎ先の宗教に入るのは当たり前だと言ったおじいちゃんだったのだ。

俺はその話を聞き、安心して家の中に結界を張り直した。
おじいちゃんがついてくれてるなら大丈夫だと思ったんだ。

姉はまだ家の中に盛り塩(正確には砂)があるのを気持ち悪がったが、渋々我慢していた。
それからはピタリと怪奇現象もやみ、数日安眠することができた。

しかし、4日目くらいの夜、リビングの砂がまた移動されていた。
今度は和紙をズラされ、上に乗った砂は角に全部崩して寄せられていたのだ。
さすがにそれを見たとき、母親と姉はこの家に何かいると察したらしい。

それを師匠に言うと、もう俺では対処しきれないことがわかった。
皆も師匠が来れば良いじゃん!と思っただろうが、カルト宗教が祀ってた悪霊が強すぎて、家に来ようとすると車が原因不明のエンストや体調不良、メールや電話が繋がらないなどテンプレみたいなことが本当に起きたため近づけなかった。

どうすれば良いのか悩んだ結果が、近づけるぐらいまで俺が家の中にいる奴らを弱めることが必要だった。
毎日家の真ん中で柏手を打ち、結界を張り、部屋を掃除し、仏壇に祈らないのというのが俺の役目だった。
その甲斐あって、ようやく師匠が近づけたのはカルト宗教が悪いことが発覚してから3ヶ月ほど経ってからだった。

結果的に師匠が来てくれたおかげで、家の中にいた奴らを追い出すことができ、仏壇は何も入っていない抜け殻になった。

姉がいない間にすべてのことをやってしまったのだが、夜帰ってきた姉は俺の部屋に入っても気持ち悪くないと言い、あんなに俺に怒鳴ってたくせにごめんと謝ってくれた。

しかし話はここで終わらない。

本当に面倒くさいのはカルト宗教の人間であって、俺ら家族がカルト宗教をやめたいと連絡すると、毎日のように幹部が家に来て、何時間も母親を説得した。
母親も姉も俺が仏壇と祀っているものを返したいと言うからカルト宗教の人にやめたいと言っただけであって、なぜと言われると答えられなかったのだ(笑)

当たり前だが俺は幹部の人に呼ばれ、何時間も怒鳴られた。

「あんたは家族を不幸にした」とか「悪魔」だとか「あんたのしていることは人間じゃない」とか散々言われた。
殴りたくなるような酷いことも言われたが、俺はこのカルト宗教をやめられるならと思い何を言われても耐えた。
正直、あまりにも酷いことを何時間も言われ続けたせいで何を言われたのかうまく思い出せない。
それでも俺たち家族は、カルト宗教をやめることができたのだ。

もし某カルト宗教をやっている人がいるなら、たぶん家に祀っているものは本当の神様じゃないと思う。
あと、カルト宗教に勧められている奴は、絶対にやらない方が良い。
たまに祀っているものを捨てたら祟りが起きたとか聞くけど、それって仏壇にいる奴らは結局家の中にいるからそいつらに祟られるんだよ。

俺は祀っている奴らを家から追い出してやめられたから何も起こらなかったし、今ではカルト宗教やっていた頃より幸せな毎日を送れてる。

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