仮面友人

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

ずっと友人だと思ってた人が友人じゃなかった・・・。

高校の同窓会。
みんな化粧やお洒落を覚えたりスーツやドレスを着たりして当時よりも華やかになっていて、和気藹々と盛り上がってた。
幹事の男子が頑張ってくれたおかげで当時の学年の生徒はほぼ全員集まった。
ホテルの一室を貸し切った同窓会で、ご飯も美味しかった。

そこで再会した高校時代の友人。

この子は当時暗いとか地味だとか言われて交友範囲も狭くてクラスでも目立たない方だったけど、あまり派手で賑やかなのが好きじゃない私は落ち着いた雰囲気の彼女と親しく付き合っていたつもりだった。

この子は携帯を持ってなかったから私の進学を期に連絡が途絶えていて、同窓会で再会できた時は本当に嬉しかった。

でも嬉しかったのは私だけだったようだ。

再会の挨拶と世間話から、自然とお互いの近況についての話になった。
私は勉強頑張って小さい時からずっと目指してた仕事に就けたこと、来年結婚する予定だが義理の両親と夫の理解もあって結婚後も仕事を継続する予定だってことを話した。

すると、さっきまで軽くお酒に酔って陽気そうだった友人の表情が一変。
すごく冷たい表情になった。

そして、こういったことを言われた。

友人:「私は親に厳しく育てられた。高校生になっても門限は6時。お小遣いは1000円。些細なことで何時間も説教されて、部屋を定期的に点検されていた。家事も押し付けられていた。」

友人:「小さい時は日常的に体罰を受けてきた。怒鳴られるのは日常茶飯事だった。小学生の頃から死にたいと思ってた。でも甘やかされて育てられた連中が落ちぶれていくのを楽しみにして、暗くて惨めで空虚な青春を頑張って乗り切ってきた。なのに、どうして甘やかされたお前は私より幸せになれたのか。私は短大で鬱になって引きこもったのに。私の苦労は何だったのか。今からでも遅くないから不幸になれ」

場の雰囲気を乱さないように、私は何も言い返さずにトイレに行って、一人で泣いた。

少し経っておずおずと戻ってきた時にはもう友人はいなかった。
あれからもう地元には帰ってない。

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