しばらく左官屋をしていた。
しかし親方とケンカして工務店をクビになった。
すごく理不尽な解雇のされかた・・・。
なおかつ家の事情で、俺は仕事がポシャったら故郷に帰る事になっていた。
故郷に帰る前日、どうしても怒りが収まらない俺は職場の事務所におもむき、倉庫からセメントと道具を持ってきて、建物のドアや窓をセメントで塗り固めた。
「プライマー」という、セメントの付きがよくなる薬をまんべんなく塗りつけた上で、みっちりと。
終わってから、俺は一服しながらのっぺりした会社事務所を眺め、生涯最高の仕事を果たした感慨にふけった。
しばらくして、工務店の社長から実家に電話があったそうだ。
俺の親父は理不尽な解雇を知ってたから「テメーも塗り固められたいかゴルァ!」と追い払ってくれたとか。
今考えるとあんだけの事したのに警察沙汰にならなかったのが不思議・・・。
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