医療ネグレクト

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

私の読んでいる専門雑誌に載っていた話です。
専門用語が多かったのでなるべく簡単に書きます。

ある小児科(そこの医者をB医者とする)に、ある親子(親をA親、子をA子とする)が診察に訪れた。
A子は生後数か月なのに、生後2ヶ月の体重よりも軽く体もアトピーだらけ。
また、検査の結果、栄養状態がかなり悪くなっていたため即入院となった。

入院中B医者はA子のレントゲン検査を何度もA親に勧めたが、A親が拒否したためできなかった。
MRIについても、「電磁波を当てるなんて、将来の副作用を考えると出来ない、検査で発達の遅れが分かっても、治療法があるわけじゃないので無意味」と拒否。

また、ぬり薬やアレルギー用の人工乳が必要なのに拒み、離乳食を食べさせるよう強く要求した。

最終的になんとか治療に同意し、2ヶ月後にA子は退院。
しかし、その後もA子の発育は悪く、B医者がA親に食事内容について質問したところA親が怒り出したため、結局詳細を聞くことが出来なかった。

そしてA子2歳の時、骨が変形し始めた。
B医者は栄養不足からかかる骨の病気『くる病』を疑い、全身のレントゲン検査を勧めたがA親が拒否。
足だけどうにか検査し『くる病』と分かった。
通院期間中、A親は何度もA子の診察予約をキャンセルし、B医者が入院の必要性を話してもなかなか耳を傾けなかった。

半年後、ようやくA子入院。
入院後A子が何度も嘔吐し、その原因がおそらくA親が持ち込んだ離乳食と考えられたため、B医者はアレルギー用の牛乳を勧めたがA親がやはり拒否。
また、B医者が入院中にいくつかの検査を受けるよう説得したにも関わらずA親が拒否したため、A子は必要な時期に検査が受けられなかった。

「入院の意味が全く理解できない」
「食事療法なら家で出来るし、家の方がたくさん食べさせられるから明日退院させて」

A親は退院の旨を申し出たが、同時にA子の治療薬について別のものと混同している発言をしていた。
また、A子の病状から薬の増量が必要だったがなかなか同意せず、B医者の長時間の説得によりやっと同意した。

これまでの経過からB医者は、A親が適切な栄養を与えなかったためA子が病気にかかった可能性が高く、ネグレクトの可能性が高いと児相に通告。

1ヶ月後、A子の一時保護が決定しA子は施設で保護された。
しかし、その後A子は施設で誤って出されたアレルギー源を食べ、アナフィラキシーで死亡した。

記事の主題は医療訴訟で、その後A親がB医者が虚偽の事実で児相に通告したと損害賠償を起こしたが棄却されたと続くのだが、ネグレクトの親からやっと保護され一安心と思ったら、次の行で『A子アナフィラキシーで死亡』と後味の悪い結果ですごくショックだった。

ちなみに完全に余談ですが、必要な医療を子供に受けさせないのも医療ネグレクトという虐待です。
子供を守るべき親が子供の健康を損なってまで一体何がしたかったのか、本当に理解に苦しみます。

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