三年前、研究所にいた奴の話。
その研究所は主にマウスなどの実験動物を扱う仕事場だった。
そこに、一人の学生が研修に来たんだが、その研究所は少人数しかいないこともあり、学生にルーチンワークの一端を任せるようになったんだ。
だけど、来てすぐの学生にそれがこなせる訳もなく、失敗するたびに罵倒されるような日々を送るようになっていった。
学生は、始終泣いていた。
研究員の言うことは、正しく、単純にその学生が不器用で精神面が弱かったこともあったかもしれない。
そして、学生が半年を迎えた頃、学生は壊れていった・・・。
深夜二時にもなると、流石に研究員たちも帰宅して研究所には誰もいなくなるんだが、その学生だけは一人残っていた。
暗闇のなか、照明台の光だけで過ごしていた。
学生は屠殺されるマウスを使って遊んでいた。
マウスを麻酔せずに解剖を行い、胃の限界を越える量の水を投与し破裂させた。
ホルマリンを生きたまま投与し悶え苦しむマウスの様子を観察していた。
マウスの四肢をピンで止め、生きたまま皮を剥がして行く事もしていた。
学生はにやつきながら、マウスがいなくなるまで続けていた。
それを毎晩繰り返す・・・。
思いつく限りの殺し方を実験し続けていた。
それが半年続いた頃、学生は研究員と口論になり研究所から出て行った。
学生の”やっていた事”を研究員達が知ることは無かった。
今、考えても怖くて仕方がない。
人は誰でも異常者になれる。
人に手を出さなかったのは、運が良かっただけなのかもしれない。