小学生の頃、近所に某宗教の勧誘をしている初老の女性が住んでいた。
女性の旦那は亡くなっており、10歳の娘が一人いたが少し頭が弱く、いつも同じ服を着せて勧誘に連れ歩いてた。
私はその人が苦手で、たまに道で会った時も笑みをうかべたまま瞬きひとつしないその目が怖くて、直視できなかった。
近所で不幸がある度にその家に行って勧誘し、時には自転車が盗まれたなどの些細なことでも顔を出してたため気味悪がられたが、なぜかうちには一度も来た記憶がない。
最近になって母がその理由を教えてくれた。
母:「あんたね、殺されかけたんよ。あの人に。あんたがまだ赤ちゃんの時、あの人勝手にうちに上がって二階で寝てたあんたを抱いて窓から落とそうとした。突風で押し戻されたけど間一髪だったんよ」
警察に通報しようとしたが、祖母に考えすぎだと言われてやめた。
それ以来女性はうちに来なくなったらしい。
私が中学に上がる頃、女性は出世したのか本部のある街へ引っ越したそうだ。
ちなみに突風が吹いた方角には祖父が参拝道の整備工事の時に寄付した神社がある。