囲まれてる・・・

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

幾つか不思議な体験をしたことがあるけど、一つ。

俺ドライブが好きで、昼は混んでるのが嫌だから夜よく走るのね。
5年前くらい前の連休に名古屋の友達と遊んだ後、一人でドライブに出かけた。

三重の実家へ帰るつもりで、滋賀方面へ山を越えて遠回りしようと思って車を走らせた。
深夜2時頃、地元の人なら良く知ってるかもしれないけど、北勢地域の大きな神社がある町あたりで眠くなったので、静かに寝れそうな場所を探してた。
神社を越えて暫らく走ると、田んぼ道に出て河原らしいところに出たんで、そこで寝ることにした。

車のライトを消すと真っ暗で月明かりも無い。
目を閉じると微かに河の流れる音と蛙の鳴き声が聞こえる。
俺はそのままウトウトしだした。

どれくらいか経って、地に靴が刷れる音が複数聞こえてきた。

「地元の人が夜回りでもしてんのか・・・」

最初はそう思ってウトウトしたままだったんだけど、どう考えてもこの時間に田んぼばっかの河原に来るのはおかしい。
懐中電灯の灯りも見えない・・・。
どう考えても何か嫌な感じがしてきた。

靴の音が近づいて来る・・・。
10人?それ以上?話し声は聞こえない。

そして案の定俺の車の横で音が止まった。
次の瞬間窓をバンバン叩かれる。
もう凄い勢いで。
何人が叩いてるのかわからないぐらい。
悪戯にしても度が過ぎている。

窓の方に目をやると真っ黒な人(昔話に出てきそうなのっぺりとした人影みたいなモノ)が窓を叩いている。

手とかは見えない。
黒い何かが窓を叩いてる。
囲まれてる。

怖いけど睡魔には勝てなかった。
バンバン叩かれる中、俺はウトウトしだした。

そしたら今度は揺する揺する。
車を叩く+揺するの連続攻撃。
段々人数が増えてるような気がした。

怖い。
怖いけど睡魔には勝てなかった。
叩き、揺すられながら就寝。

で、結局その日の昼頃目が覚めたんだが、河原で寝たはずが、何故か「峠」。
田んぼもないし河原もない。

ナビで場所を確認すると、寝たと思われる場所から数十キロ離れた峠道にいた。
車に傷も叩いたような跡もない。

最初から峠で寝たのか、河原から寝ながらにして自走したのか、狐に化かされたのか。
悪戯を無視して寝てしまった俺への腹いせに、車ごと移動させた気がしている。
それとも本当に邪魔だったから移動させたのか、不思議な経験だった。

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