みちづれ

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

男の人が会社帰りに駅のホームを歩いていると、自分の少し前を歩いている女性の様子がおかしいことに気がついた。

女性はうつらうつらと歩きたまにフラフラしている。
男性は「あの人具合悪いのかなー、危ないなー、線路に落ちたりしないだろうな」と思っていたら、案の定その女性が倒れる様に線路へ落ちてしまった。

帰宅時刻だったため女性の周りにはあっという間に人だかりができて、線路で倒れている女性に向けてみんな「大丈夫かー」と声をかけている。

しばらくすると女性がむっくりと起き上がった。
良かった、意識があるみたいだ。
手に掴まって昇ってこい!男の人を含め数人の男性がホームの上から女性に手を差し伸べた。

しかし女性は顔を伏せて突っ立ったままで反応がない。
そうこうしているうちに電車の発車ベルが鳴り始めた。

「おい!何してるんや、早く昇ってこい!危ないぞ!」

男性達や周囲の乗客が呼びかけると、女性はすっと顔を上げ、女性に手を差し伸べている男達の顔をじーーっと見始めた。

駅のホームはこの騒ぎに騒然としていたが、女性は相変わらず手を伸ばす男性達の顔を見渡すばかりで動こうとしない。

電車がすぐそこまで迫ってきた時、女性が一人の男の顔をじっと見て、ポツリと呟いた。

「アンタでええわ・・・。」

その瞬間、女性はその男性の手をぐっと握って線路へ引き釣りおろし、女性と男性は電車に巻き込まれてしまった。

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