レイプ未遂の犯人

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

数年前、北欧を旅行しようと思って計画を立てた。
当時は妹が仕事でモスクワにいたから、久しぶりに会おうと旅行の最後にロシアにも行くことにした。(列車で国境を越える)

過程は飛ばしてモスクワに着いてからなんだけど、妹は巨大なアパートに一室を借りていた。
それがもう灰色でヒビだらけで不気味なアパートだったんだけど、ちゃんとガードマンがいたりして安心感はあった。

妹の部屋にお邪魔して、途中腹が減ったから俺一人で買い物に出て、買い物を終えて妹の部屋に戻ると大変だった。

玄関入ってすぐの狭い廊下で、男がこっちにケツを向けて四つんばいになっていた。
巨大なケツがドーンとこっちを向いて鎮座。
しかもうごうご動いている。

数秒間、入る部屋を間違えたかと唖然としてたんだけど、よく見たらケツの下に誰か下敷きになってる・・・と思ったら妹の上に男が圧し掛かってるんだと気づいた。

もう慌てて慌てて、動転した俺は玄関を飛び出て、アパートの廊下で「助けてー!助けてー!」って大騒ぎした。
そしたら面倒くさそうに隣の部屋の兄ちゃんが出てきてくれたんで、こっちこっち!!って妹の部屋の玄関を開けて中を指差したら異変に気づいた兄ちゃんが飛び込んで、不審者の背中を掴んでアパートの廊下に引きずり出した。

引きずり出されたのは体格の良いおっさん。
それを引っ張り出した兄ちゃんはすごい。
さらにすごいのが、廊下に転がった不審なおっさんに容赦なく蹴りを見舞う兄ちゃん。
そしていつの間にか蹴りを加える人数が増えている。
たぶん様子を見に来たアパートの住人。

寝転がった相手に、まるで踏み砕くような蹴りが何度も何度も。
情けないんだけど俺は震えながら見てるだけだった。

もうすごい有様・・・。

おっさんはその内もがくことを止め、ずっと「うううう~」って唸ってるだけになった。
異様な唸り声で、多分骨折かなんかしちゃったのかもしれない。
警察が来てくれて、支えられながら連れてかれた男は、よく見たら制服着てた・・・アパートの守衛さんだった・・・。

妹はおっさんに乗っかられて胸を押されたのかずっと咳き込んでた。
落ち着いてから話を聞くと、インターホンが鳴ったので俺が買い物から戻ったのかと注意もせず玄関を開けたら守衛のおっさんだったんだと。

最初は「僕を部屋に招待してよ」とか言ってきて、今は忙しいので、と帰ってもらおうとしたら押し入られたらしい。
盗みかレイプか何が目的かわからないけど、とりあえず妹は無事でした。

俺が妹の部屋に尋ねた日に押し入りを実行してくれたのが不幸中の幸いというか・・・。
守衛がいるからって安心してはいけない”おそロシア”な経験でした。

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