もう生理とかある?

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

オカルトじゃなくてかなり後味悪いけどいい?
小学5年の時、2ヶ月だけ私の学校に居た転校生の話。

その転校生は女の子で、とても大人しくて学校ではほとんど喋らなかった。
ある日の帰り道、一人で歩いてるその子を見かけてなんとなく声をかけた。
色が白くてちょっと外人みたいな顔立ちの大人っぽい子だった。

「一緒に帰ろう」って言ったら少し困ったような顔をしたのを覚えてる。
迷惑だったかな?と内心後悔してたら、その子が突然「うちに遊びに来る?」って聞いてきた。
迷惑がられたと思ってたからちょっと嬉しくなって「うん」って返事した。

住宅街から逆の山のほうに歩いていくから、こんなとこに家あったかな?って思いながら付いていった。
痴漢が出るとかで学校では行かないように言われてる山だったので帰り怖くない?って聞いてみたけど、その子は平気みたいで笑ってた。

やがて山の中の切り崩した崖の横にある小屋みたいな場所に着いた。
これが家?って正直ビックリしたけど、その子はそこにお父さんと二人で暮らしてると言ってた。

小屋の中に入ってみると案外普通で、狭いながらに台所みたいなのもあったけど、家の中に布団が敷きっぱなしなのでちょっと驚いた。
まあそんな家もあるかと思って気にせずに普通に女の子らしくいろいろ話したけど、なんだか私ばかり喋ってその子はあまり話さなかったように思う。

しばらくして、その子が急に真顔になって「ねえもう生理とかある?」って聞いてきた。
私は体も小さくて当時全くの子供だったので恥ずかしくて黙ってしまった。
その子はすぐに「ごめんね」って言ったけど、夕方になってきたし気まずいし、もう帰ろうかと思ってた。

そしたらその時、その子のお父さんが帰ってきた。
挨拶しなくちゃって思ったんだけど、ものすごくお酒臭くて怖い顔のおじさん。
部屋の中にいる私を無視してその子を掴まえて「○○子~!」って叫びながらその子の体を触ったんだ。

子供ながらにすごく気持ち悪かったのをよく覚えてる。
この辺に出る痴漢ってこの人じゃないのかとさえ思った・・・。

その子は「友達が来てるから!」ってお父さんをふりほどいて言ってたけど、その人はかまわずにその子に抱きついたりしてた。
具体的には書かないけど、単に「仲の良い親子」ではすまない事をしようとしてた。

私は怖くなって何も言わないで逃げるように帰ろうとした。
その子は必死に「帰らないで!」って何度も叫んでたけど、何か普通とは違う家族を見て足が震えてた。

泣きながら山を駆け下りて家に帰った。
家に帰ってもその日見た事を家族の誰にも言えなかった。

しばらくしてその子はひっそりと転校していった。
あのあと学校で会っても向こうから私を避けてて、私も何を話せばいいかわからなかったし、正直ホッとしてた。

お別れの日、短い手紙をもらった。
『だまっててくれてありがとう。はじめてのともだちだった』ってひらがなで書いてあった。
その子は学校でも全く勉強が出来なかったので、きっとあのお父さんのせいだ、と思って悲しくなった。

その時私は本当にまだ子供で勇気がなくて、何も聞けなかったし何も言えなかったけど、大人になった今思い出しても、あの子は助けて欲しかったんだろうなと後悔してる。

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