忍者男の奇行

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

怖いかどうかわかんないけど、2年ほど前の話。
休日に公園で読書してたらそのまま眠り込んでしまい、起きたら暗くなってた。
焦って携帯で時間を確かめたら9時過ぎてた。

どうも6時間くらい寝てたらしい。
さすがに寝すぎたと慌てて公園を出て、車を停めてあった駐車場に向かった。

時間が時間だけに、だだっ広い駐車場内に人影は無く、停めてある車は俺のを含めて4台くらいだったと思う。
その駐車場からは丘が見えるんだけど、その上が墓地になってたりして、暗い時間帯になると薄気味悪いんだよね。
ちょっと怖くなった俺は、小走りで車の前まで行って扉の鍵を開ける。

ふと周囲を見渡すと、いつの間に現れたのか、20mほど離れた場所に人が立っていた。
さっきまで誰の気配もなかったのに、いつの間にかそいつは立っていた。

街灯の薄暗い光に照らされたそいつは男のようで、黒づくめのジャージかトレーナーのような服を着ており、顔には目だし帽か覆面のようなものを着け、目の部分だけが見えていた。
まるで忍者のような出で立ちのそいつは、ご丁寧に背中に棒状の物(忍者刀?)まで背負っていた。

その忍者男がじっと立って、こちらを見ているのだ。
なんとか悲鳴をあげずにいたものの、驚いて固まってしまった俺。
一瞬、そいつと見詰め合ってしまった。

忍者男は妙に黒目がちな目で俺を見ていた。
突然、忍者男がこちらに向かって走り出した!

「うわあぁぁぁ!?」

情けない悲鳴を上げた俺は、必死で車の扉を開けて運転席に飛び乗った!

扉を閉めてロックすると、そいつの方を確かめる。
あの距離でダッシュしてきてるはずだから、もう運転席の前に来ていてもおかしくないはずである。
だか、何故か忍者男は、まだ先程の場所にいた。

どういう訳か、忍者男はその場で激しく足踏みしているだけで、走ってはいなかったのだ。
目を疑う俺の目の前で、男は激しくその場ダッシュを続けていた。

忍者男を確かめながらキーを入れ、車のエンジンをかける。
その瞬間、忍者男は俺の車に向かって走り出した!
今度はその場ダッシュではない、どんどん近づいてくる!

忍者男はあっという間に運転席の側まで来ると、運転席の窓を軍手を着けた手で叩き始めた。

パタパタパタパタパタパタ・・・。

忍者男が妙なソフトタッチで、窓を叩く音が車内に響く。

「うわあああぁぁぁぁ!!」

悲鳴を上げながら、俺は車を急発進させて逃げ出した。

駐車場の出入り口まで来てからバックミラーで確かめると、忍者男はさっきの場所に立ったまま、こちらをジッと見ていた。
家に帰り着くと、その日はすぐに寝ちゃった。

次の日、車を確かめると、窓にびっしりと手形が・・・というような事は無かった。
ただ、何故かわかんないんだけど、助手席の足元に一塊のお米が置いてあった。

俺は一人暮らしだから車使うのは俺だけだし、誰も車内に米を持ち込むヤツなんていないのに。
それも米粒が、なんか絵の具みたいなのを塗ってあるみたいで、全部黄色く染まってるんだよね。

気持ち悪くって、お米はすぐに捨てて車内を綺麗に掃除した後、お守りをもらって来て、その後は車内に置くようにした。

忍者男とお米が関係あるのかもわかんないし、霊的なものとかじゃないとは思うんだけど、その時はとにかく薄気味悪かったから。

結局、忍者男が何者なのか、強盗の類か、異常者なのか、それとも霊的なものなのか、わかんないんだけどね。

聞いてて怖くないかもしれんが、俺はしばらく怖かったです。

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