いじめ、タチの悪い無視

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

私が高校1年の頃の話なんだけど、通ってた学校は中学・高校一貫教育の女子高でした。
大多数が中学からの持ち上がりで、クラスも4クラスしかないため、ほとんどが顔見知り。
そんな状況なので、高校から受験して入学してくるコはある意味目立つし、みんなの好奇の目にさらされてました。

その中でもTさんは、体が大きく動作がゆっくりだったので、いつのまにか『クマさん』と呼ばれるように・・・。
みんながからかっても、彼女は「やめてよ~」とおっとりと返すだけで、それが、いじめっ子の目には面白く映ったらしく、1年の5月にはいじめが始まってしまいました。

女子高なので、力でどうこうっていういじめはない分、精神的ないじめが主で、本当にかわいそうだった。

授業で彼女が本を読む番がくると、多くの子がいっせいに咳をしたり、筆箱を落としたり、わざと大声で「聞こえませ~ん」とヤジ飛ばしたり・・・。

そんなある日、1番にいじめてたMさんが「これからクマは、見えてないことにしよ~」と言い出し、それからTさんが何か話し掛けても「あら?空耳かな?」とか、「誰もいないのに声がする~」など言って、タチの悪い無視を始めました。

わたしは隣のクラスだったのですが、そのいじめっぷりはどのクラスでも有名になってて、どんないじめが行われているのか他のクラスのコがわざわざ見に行くほどのいじめ・・・。

結果・・・Tさんは精神に異常をきたして、奇行が目立つようになり、誰もいない下駄箱で上履きに向かって話かけたり、体育の授業でみんなが体操服なのに、なぜか一人だけ中学の水着を着用したり、クラスが違っても奇行を目にすることが多くなりました。

そんなある日。
倫社の合同授業で、2クラスがいっしょにビデオを観ることになりました。
『プラトーン』を見せられたのですが、その最中もいじめっ子が「あ、あそこにクマが出てるよ。」とか「クマがこんな軍隊にいたら、とろとろしてるから一発で死ぬよね~」と、結構大きな声で笑いをとってました。

それでもビデオが終わる頃はみんなしーんとなってたのですが、どこかからか「・・・くすくす」って笑い声が聞こえます。
声のほうをみんなが振り向くと、Tさんが笑ってました。(決して笑うような映画ではなかったのに)

先生がTさんに「笑うのをやめなさい」と注意すると、今度は両手を顔にあて泣き出しました。

さすがに先生もびっくりして、Tさんのところへ行き「どうしたの?」と聞いたのですが、泣いていると思ったTさんは笑っていました。

そのままTさんは保健室につれていかれ、それ以来学校に来ることはなく、先生のお話では、本格的におかしくなってしまったということでした。

今思い出しても、いじめに加担してなかったといえども、何もしないで見ていたのは、やはり彼女を追い込んだ一人であることに違いないという事実で、後味が悪いというか、複雑な気持ちです。

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