人間の声には到底聞こえず

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

ちょい悩んだんだけど、どこに書けばいいかわからないから書くね。
詳しくは書けないんだけど、俺は町内会の役員みたいなことやってて、地域の見回りとか相談事を聞かなきゃいけないわけ。

で、あるときどうしても一軒の家に行かなくちゃいけないことになったのね。
そこは坂の途中にある、雑草に覆われた、廃屋みたいな家で玄関に立つとカビのような異臭がするので苦手だった。

事前の情報では、80近いじいさんと息子と娘がいるはずなんだが、いつも出てくるのはステテコの上からバスローブ羽織った、骸骨みたいに痩せた足の不自由なじいさんだった。
家を訪ねると奥からのっそりと出てきて、ボソボソと低い声で言った。

じいさん:「あんたに相談したことがある・・・・・・」

そして、玄関の横の扉を指した。

じいさん:「ぶつぶつ言うのが聞こえるか?あれはうちの娘なんだが・・・・・・始終あんな調子でな。もう面倒見切れないからどこか施設なり、病院なり入れたいんだが・・・・・・手を貸してくれ」

言われてみたら気がついた。
確かにその扉の中からはなにかが聞こえていた。
てっきりテレビの音かと思っていたが・・・。

それは女性の声どころか、人間の声には到底聞こえず、何かの動物が興奮して威嚇するうなり声に聞こえた。

「グリュウウウ・・・・・・グウオオオオオオ・・・・・・!!グウオオオオ!!ギィオオオ・・・・・・」

そんな何とも表現できない音というかなんと言うか、そんな物がひっきりなしに聞こえていた。

俺はパニくって、何か言おうとしたが「いやー」とか「そのー」とかさっぱり要領を得ない様子だったので、しまいにはじいさんが呆れて「もう帰れ!」と怒鳴れ、一目散で逃げ帰った。

家に帰っても心臓の高鳴りが止まらず、夢中で布団に滑り込んで震えていた。
だが、相談を受けた以上は放置はできない。
もう一度、なんかの対策をもってあの家に行かなくてはならない。
どうすればいいんだ・・・・・・。

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