どこまでも残酷になれる自分

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

後味の悪い「話」には厳密にはあたらないのだがPSソフト影牢。
館の中に様々な罠を仕掛けてやってきた敵を殺すというゲーム。

このゲームでは敵をなるべく長く苦しめ、残酷にフィニッシュを決めるほど点が上昇してゆく.。

罠は数十種類あり、効果範囲や起動に必要な時間が決まっている。
また敵の強さに合わせて組み合わせを考えないと効果的に敵を罠にはめ、高得点をもぎ取ることができない。

どんどんはまってゆくと、「あそこで感電させてから爆弾で弾き飛ばして回転鋸に押し付ければまだ点が伸びるんじゃないか?」とか普段でも考えるようになる。

プレイヤーはこのようにしてなるべく残酷な殺し方のコンボを考えるよう仕向けられる。

このゲームでは登場する100人の敵全てに名前と簡単なプロフィールがあたえられており、なぜ館にやってくるかの動機も少しずつ違っている。
それを説明するムービーが各面の初めに流れるのでプレイヤーは既に顔も名前も立場も知っている人間を相手に戦うことになる。

死ぬ時には皆なにか言うのだが、「馬鹿な・・・この私がやられるとは」というような定番的な台詞もあれば、「ジュリア、今夜はいけそうにない」とナンパな生活をうかがわせるもの、「こんなところに来なければよかった」「ず、ずるいや・・・」となんか情けないことを言うもの、とにかくそれぞれの個性が感じられる。
これがまた倒したときの「人を殺してしまった」感を増幅させ、気持ちをざらりとさせる。

100人敵が出てくるといったが、ストーリーの展開にそって主人公を狙ってやってくる敵ばかりではない。
単なる盗人の老人や、ちょっと無茶な考え方をする父親についてきてしまっただけの母子もいる。
そういった敵は主人公の姿を見ただけで帰っていってしまうので無理に殺す必要はない。

しかしハイスコアに取り付かれたプレイヤーは、こうした老人、無防備の女性、子どももついつい血祭りに挙げてしまう。
あまつさえ老人や子どもは体力が弱いので、死なないうちになるべくたくさんの罠に嵌めるにはどうするかを一生懸命研究したりしてしまう。(そういう研究成果を載せているHPも結構あり、それを探して参考にもしてしまう。)母親を殺すと子どもの名を呼びながら死ぬのですこしいやな気持ちになるが、良い罠コンボが決まってスコアが上げる魅力には抵抗できない。

死んだ敵の体はしばらくすると消えるのだが、バイオハザードのようにすっきり消えるわけではなく、死んだ場所にたっぷりの血のりを残す。
これは面クリまで消えないので、7,8人の敵を狭い部屋で殺し続けると、最後の方では床は血だらけである。夢中で遊んでいるうちに、ふと気がつくと部屋が血の海になっているのを見て「うっ」という気分になれたりする。

このように影牢は、プレイヤーになるべく残酷なことをさせるように仕向けるシステムと、それがゲームの中のこととはいえやはり残酷なことであることを訴える演出が巧妙に組み合わせられている。

この影牢、メインのストーリーも結構後味ワルーなのだが、なによりスコアのためにどこまでも残酷になれる自分を発見できてしまうという意味でなかなか味わい深い後味ワルー感を得ることができる。

古いソフトなので入手は困難かもしれないがお機会があれば遊んでみて欲しい。

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