熱い密室に閉じ込められた話

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

俺は8年前パン屋で働いていたんです。
当時、真冬で朝から昼まで食パンを焼いていたんですけど、食パン工場は1人~2人で作業をするんだが場所が隔離されていて、12時を過ぎると人が俺一人になるんです。

その日は無性に寒く、俺は人が3、4人は入れるパンを焼く釜で温まろうと思ったのが恐怖の始まりでした・・・。
その、釜は分厚い鉄の扉があり、中から開けることが出来ない代物なんです。

俺は扉が閉まりきらない程度まで扉を閉めて、一服をしながら温まっていたら、突然カチャっと音がして扉がしまってしまいました・・・。
釜の中はまだ熱く扉を閉めると熱がこもり息が出来ないのです。

どうにか出なきゃと思い、扉に付いている小窓を叩き壊そうとしたが熱くて触る事もできない・・・。
どんどん意識も遠のいてきたがそれでも何とかしようとした。

下を見ると扉と床に隙間がありそこから外の空気を吸うも床が熱く顔を火傷してしまいました。(まだ痕が残ってる)
それでも俺は、その隙間から空気を吸ってなんとか意識を保っていた。

しかし、ここには誰も来ない事(俺が戸締りしてた)は俺が一番よく知っていたため次第に気力がなくなってくる。
俺は半分あきらめていたのか、隙間から空気を吸うのをやめて小窓を、ぼーっと眺めていたいました。

小窓の向こうに見える物は俺がさっきまで飲んでいたCCレモンが見えるだけだったのが悲しかったです。
それから、5~6分経った頃、小窓に人影が見えたんです。
俺は気が狂うほど熱い扉を火傷も気にせず叩いたんです。(熱かった)
その音に気がついてくて助けてくれたのは、工場長のH野さんだった。

H野さんは慌てて扉を開けてくれました。
俺は扉の外に飛び込む感じで脱出して、冷たい空気を浴びた時泣いちゃいました。
そんな俺を見てH野さんは「何やってるの?こんな事したら死んじゃうじゃないか!!」と叱られちゃいました。

後日、なんで工場に来たのか聞いたら、俺が何時までたっても本館に来ないから心配して来てくれたらしい。
まぁ、恐らく死んでなかっただろう。(釜の熱が冷めるから)
しかし、今でも夢に出てくる位恐怖した。

今でも密室は怖いです・・・。

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