あの独特の動きは忘れません

ある日、時刻は深夜。
昼寝のしすぎでなかなか眠れない俺は屋上に上った。
周りにそれほど高い建物もなく、街灯もあったから360度の景色を見渡してた。
深夜の静寂とした景色。寝静まった町。
そして偶然あの光景を見た。

うちのマンションから距離にして200メートルくらいかな?
2階建てのぼろアパートがあるんだけど、そのアパートがちょうどこちらに向かって建ってた。

そして、そのアパートの2階の一番奥の部屋から順に、一人の男が体を斜めに曲げて部屋のドアに付いている郵便受けから部屋の中を覗いて回っていたんだ。
物音を立てずに、素早い動作で。

男は2階の部屋を一つ一つ順番に覗いて回った。
そして一階に移ろうと階段を下りようとした。
やばいっ!本能的にそう感じた。
もし気付かれたら絶対にやばい!

俺は咄嗟に身をひるがえすように屋上に腹ばいに伏せた。
へたれな俺はそのまま動けなかった。
しばらくして、でもどうしても気になったので少しだけ頭を上げてみると、男はそのぼろアパートを離れてこちらの方向に小走りで動いていた。

うっ。
おい冗談じゃないぞ。
見られてないはずっ、見られてないはずっ・・・。
俺は高い位置にいるから普通気が付かないはず・・・。

もう祈るような気持ちで、そして金縛りにあったように俺はぴくりとも動くことができなくなっていた。

そして、時間にして1時間くらいだろうか、じっとしたままあれこれ考えていた俺は結局そのままそこで寝てしまったみたいで、気が付いたら朝になっていた。

今になっても思う。
あの男はいったい何だったんだろうか?
うちのマンションにも来たんだろうか?
毎晩ああした光景が繰り広げられているのだろうか?

そしてその日の朝、俺は気にも止めていなかったことに気づいた。
あの夜、屋上に上がった時、ちょっと夜風に当たるつもりだったので俺は自分の部屋に鍵なんて掛けていなかったことに・・・。

すべて本当の話です。
郵便受けから中の様子を覗いてたあの独特の動きは忘れません。

ちなみにあの時、もしあの男が屋上に上がってきたなら、俺は迷わず屋上から飛び降りるつもりでした。
マンションの一角には木が生い茂った箇所があり、飛び降りても枝が衝撃を緩和してくれると思ったからです。

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