包の中身

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

数年前の夏、俺の地元で起こった話。

当時俺は大学生で、夏休みを利用して実家に帰省していたんだけど、たまたま高校時代の友達に会って、そいつから妙な話を聞かされた。
そいつが自宅の掃除をしていた時、妙な包みが出てきたらしい。

中には錆びた刃物と、古びた写真、それに外国語で書かれた書類が入っていた。
で、写真はかなり色あせてて、何が写っているかはっきりとはわからなかったけど、どうも馬か何かに乗った男性、それも旧日本軍の兵士みたいな格好だったらしい。
最初にそれを見た友達は、おじいさんかもしくは親戚かの遺品だと思ったそうだ。
でも、そいつのおじいさんの遺品は全部別の場所に保管されてるし、親戚にも該当する人はいない。
そいつは両親にも見せたけど、心当たりがまるでなかったとのこと。

気味が悪くなった友人は、実物を持って役場に相談したんだけど、名前と連絡先聞かれただけで特に預かってもくれなかったらしい。

俺は「書類には何が書いてあったのか?」って聞いたんだけど、「どうもロシア語みたいで何の書類かも分からなかった」という話だった。
友達の話はこれで終わって、俺も「妙な話だな」くらいに思っただけでその時は特に気にも止めなかった。

で、夏休みが終わって大学に戻った直後、たしか8月の最終週だったはず。
俺が大便してた時、玄関のチャイムがけたたましく鳴りはじめた。
あわてて応対したら、例の友達のご両親を名乗る夫婦が立ってた。
で、俺が驚く暇も無く、その友達のご両親から「○○(友達の名前)は海外に留学することになった」「当分会えない」という話をいきなり聞かされた。
俺は「何でそんな話をご両親が、しかも俺の部屋に直接言いに来たんだ?」と思って不審な顔してたんだけど、そしたらお母さん(?)の方が「○○は何であんなものを見つけたのか」とか泣きそうな声で呟くのが聞こえて、驚きの余り何も聞けなくなってしまった。
それから二人は帰っていった。

その後、冬休みに帰省した時、その友達の家がどこか遠い所に引っ越したと聞いた。
で、その友達のことなんだけど、実は今もって行方が分からない。
通ってた大学は中退したらしいんだけど、どこに留学したのか誰も知らない。
同窓会でもその友達の話題は出るが、音信不通とのこと。
ただ、最後に目撃されたのはやっぱりその夏のことで、それ以来見た人間は居ないらしい。

俺の気のせいかもしれないが、どうも友人の見つけたという包みが、原因のような気がしてならない。
ちなみに、包みの話を聞いたのは同窓生でもどうも俺だけだったようだ。
今となってはその包みが何だったのか、誰も知らない。
俺も薄情といわれるかもしれないが、それを詮索する気にはならない。

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