冷蔵庫の中には、子供の・・・

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

ビデオ屋でアルバイトをしています。
店長は週間ランキングなどのコーナーを作る為、ベストランキングの集計を良くチェックします。
バイト長のRさんと僕はワーストランキングの集計をチェックして、このDVDやビデオを破棄するか決めます。

ビデオ屋で働いて間もなくから、ずっと気になっていた事があって、『○○の○』と言うタイトルのビデオ。
有名でも無い一作が、連日ひっきりなしに借りられている。

僕:「Rさん。『○○の○』って言うビデオ、見た事あります?」

バイト長:「いや、無いよ。どうして?」

僕:「この御時世、DVDが主流ですけど、『○○の○』って言うビデオ、人気があるんですよ。常に借りられているんです」

バイト長:「そうやな!不思議やな!?このビデオ1本しかないから、ベストランキングにも入らないから、店長も気づいて無いんだろうな!名作なんちゃうかな?今度ウチに遊びに来た時、一緒に見ようか!?」

Rさんのアパートは僕の通っている大学から近く、サークル連中やツレなど、お酒を飲んだ時によく泊めて貰っていました。

Rさんとは歳は離れていますが、時々飲みに行ったりする仲で、その日は蒸し暑く、体がビールを欲していました。

僕:「Rさん今日飲みに行きましょうよ!しかも明日授業あるし、Rさんの所に泊めて下さいよ」

バイト長:「良いよ!俺も今日、この蒸し暑さにビール飲みたくて、飲みたくて、お前誘うつもりやったからな。『○○の○』のビデオも借りとくわ」

バイトも終わり、立ち飲み屋でビールを煽り、程よく酔っ払って、Rさんのアパートでビデオを見ていました。

ビデオの内容は、主人公は油田工場で働く男と結婚します。
男は事故に遭い・・・そんな内容の映画です。
Rさんは「つまらないビデオやね。消して寝ようか」と、テレビの電源をリモコンで切ろうとした時、明らかに、このビデオ画像と内容が刷り返られている事に気が付いた。

バイト長:「51分(ビデオの再生時間)の所から、画像おかしかったな!?」

Rさんはテレビのリモコンをテーブルに置いた。

僕も「なんか違う作品の画像がダビングさせれますね」と答えた。

Rさんがそのビデオを見ていて、僕にこう言ってきた。

バイト長:「ここに映ってる場所、日本やで!たぶん!?」

・・・!?

僕:「コレ、この場所・・・ココの近所ちゃうかな?」

僕も気づきました。
たしか、隣町の国道沿いの、とある場所。
国道を走っている車の中から、8ミリか何かで撮っている画像でした。
そして車が止まり、徒歩で十数歩の所の、木々が荒れ果てた住宅街から外れた広場。
説明しにくいけど、昔は住宅が建ってた様な今は荒れた土地に、木々をかき分け進んでいる、手で草木をかき分けている様子が見える。
数分と経たない内に、古びた冷蔵庫を発見する。
音声は無い。

冷蔵庫に手が伸びる。
冷蔵庫を開ける。

冷蔵庫の中には、子供の様な小さい体の腐乱して、見るも無残な塊の様な画像が・・・。

僕:「うわ~~吐きそう」

時間にしてホンの5分位の画像がこのビデオに刷り替わっていて、本編の『○○の○』にまた戻っている・・・。

Rさんは「ボカシ入れとけよ。リアル過ぎて、印象キツイわ!目に焼き付くわ!!」。
Rさんは映画の一部だと思っているらしい。

僕は警察に届けようか悩んでいますが、Rさんや店長は映画の一部と信じています。
今も店に『○○の○』は並んでいます。
苦情もありません。
しかも引っ切り無しに借りられています。

あまり信じないので、来週店長とRさんを連れて、冷蔵庫があると思われる現場まで行ってみようと思います。
ちなみに、僕の働いているビデオ屋は加古川にあります。

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