遠洋漁業での話

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

いつもこの時期になると思い出しては、誰にかに話したくて、でも話せなかった話。
もう昔の話しだし、当事者も亡くなっているから書く。

以前、私が働いていた所での話だけど、その職場は冬の間だけは季節労働の方々がやってきて、私たち年間雇用の人間と作業をする職場だった。
その作業は時には夜通し行う事もあり、その夜は私と年配の方と二人っきりでの作業だった。

作業も一段落して、二人で酒を呑んでいた時。

その年配の方は普段漁師をやっていて、漁に出れないこの時期だけここに来ている。
酒もすすみ、その方の若い頃の遠洋漁業の話になった。
昔は3回も遠洋に出れば家が建てれた、きつかったけど楽しかったとか。

そこで私は聞いてみた。

「そんだけ稼ぎがいいなら、なかには変な奴も乗ってくるんじゃないですか?ほらよく借金返済のためにマグロ漁船とかいいますよね」

「うん。たまにはそんな奴もいたね。でもプロの漁師じゃない奴なんて、たいがい身体と精神が保たずに辞めて行くね。そういえば一人、ひどい奴がいたなぁ。やくざかチンピラか、そっちから流れてきた奴で、仕事は全くできない。その上刃物は振り回すで酷かったよ。だからみんなで話し合って、海に突き落としたらしいよ。波にさらわれたって報告しとけばバレないからね。」

そういってその方はニヤリとした。

その夜は眠れなかったなぁ。

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