少し前の話なんだけど、元オタ友Aが亡くなった。
まだ若かったんだけど突然難病に罹り、短い闘病生活を送った後苦しみぬいて亡くなった。
友人達と葬儀に出席した後、Aの母親から連絡があった。
もし良かったら、Aの遺品の整理を手伝ってもらえないかと。
特にAの残した漫画やゲーム、CD、DVDなどを整理したいけど、数が多いし何がどういうものかよく分からないらしく、ゴミに出すのも辛いし、欲しいものがあったら形見としてもらってくれたら嬉しいとも言われた。
そこで彼女と仲の良かったオタ仲間達と家へお邪魔すると、母親の言うとおり部屋は同人誌やDVDで溢れていた。
取り合えずざっと調べて、オクなどで高額の付きそうなものを調べ、リスト作ってご両親に渡してあげようという事になった。
それで整理してたらとんでも無い事が分かった。
Aの持ってた漫画や同人誌、ゲームにグッズにDVDの一部が私達の物だった。
更に探すと昔私達が失くしたり、盗られたりしたと思っていたものが出てきた。
携帯ストラップやアクセサリーのような細かいものから、ストールや帽子、スニーカーまで出てきた。
一番驚いたのは、ある友人が紛失した婚約指輪まで出てきた。
その指輪がなくなったせいでその友人は、あやうく婚約破棄され、その時泣く友人を一番そばに居て慰めていたのがAだった。
私達が物を失くしたり盗られたりしたと思っていたときも、「可哀想に、酷い事する人が居るね」「でも○○も気をつけなきゃだめだよ」と言って注意してくれたのもAだった。
Aが倒れてから誰も物を失くさなくなったのは、Aに心配掛けないように自分達が注意するようになったのかと思ってた。
ショックだったし腹も立ったけど、その場はひとまず押さえて、Aの親にある程度和らげた形でその事を伝えた。
Aの両親は最初はこちらが嘘をついているのかと怒ったけど、こちらが証拠になりそうなものを見せると、何とか信じてくれた。
その後ご両親と話し合いもっと盗品があるかもと、Aの部屋を探させてもらうと数冊のノートが見つかった。
中身はデ○ノートと日記を合わせたような感じで、Aがムカついた事とその相手の名前や特徴(私達も含まれていた)、望む死に方の他に、私達から物を盗んだ感想が書き連ねてあった。
中身は酷いもので、私達はこれでもかと言うくらい罵倒されていた。
思い出すのも不快だけど簡単に書くと、「全員バカでブサイクで底辺でうんざりする。自分の友達にふさわしくない。」
「物を盗んでもバカだから自分を疑わない。」
「そんなバカたちに優しい言葉を掛けてやると、たちまち尻尾振って自分を崇めるから楽しい。」
婚約指輪を盗んだ事については、「ブスの癖に婚約なんて生意気だ。指輪を失くしたら揉めるだろう、そのまま振られてしね。」
目を通し終わった後、自分達もご両親も泣いていた。
人間ってここまで嘘付いて生きていけるのかと、ある意味感心もした。
それから各自自分の物を持ってお暇した。
ご両親は謝ってくれたけど、もう話したくなかった。
帰ってから指輪を取られた友人に連絡し、数日後無事渡すことが出来た。