3階から飛び降り

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

おかんから聞いた話。
うちの実家のすぐ隣が広めの一人暮らし用マンションで、雪の多い地方だったから一階が駐車場で二階以上が住居スペースってタイプだった。
その日は朝から冷え込みがきつく、昼からは雪が降り出した。

そのまま降り続け夕方には靴がかるく隠れるくらい積もっていたが、まだまだやむような雰囲気ではなかった。

家族で晩ご飯も終わり風呂もはいっておやじは就寝。
おかんは寝るまでを自由にしていた時だった。

ドサって大きな音がきこえたらしい。
ただ、雪が降っていると屋根から雪が落ちてもそんな音がするからスルーしたそうだ。

1時もまわったので布団に入ったんだが、何か聞こえる。
おやじの寝言でもいびきでもない。

ウーーーー・・・・ウーーーー・・・って聞こえる。

おかんは布団かぶってやりすごそうと思ったそうなんだが、嫌な予感がしたのでマンションの方を見たそうだ。

街灯がマンションの近くにはないため暗いんだが、道路に面したところだけ自販機のおかげでほんのり明るくなっているのがマンションの駐車場から見える。
よくよく見るとなにか凹凸があってそこに雪がかぶっている。
思う所があったのかおかんはすぐに救急車に電話して現場に直行。

3階建てのマンションの3階から飛び降りだったらしい。
その高さじゃ当たりが悪くなければ逝けないと思うのだが、その日の雪もあって助かったようだ。
ただ全身打撲と腰の骨折で動けず唸るしかなかったそうだ。

なにが怖いかというと、家があったのはその飛び降りした場所とマンションを挟んだ場所だって言うこと。
マンション住人誰一人出てこず、飛び降りした場所に面した家も誰もでてこなかったっていうこと。
おかんが見つけなけりゃ凍死だったろうに・・・。

飛び降りの一件以来妙な所で人の死に出会うようになったそうだ。

太ったのを気にしてウォーキングをはじめた。
ただ、元から肥えていたので大差ないやんwと思っていたが本人はやる気になっているので支援がてら、近所のウォーキングコースを教える。
ちょっと大きめの公園の中にある小さなランニングトラックが、歩いた距離も分かりやすくていいだろうし、よくそこで運動している人がいるので勧めた。
1周200mの小さなトラック。
15周で3キロだからいい運動になったようだ。

近所のジジババは朝の5時にくらいからしているようでそれに混じって歩いていた。

はじめてから1週間したころ酔っぱらって朝帰りするとおかんが運動着のまま玄関でへたれていた。
その姿にびっくりしてよくよく聞くと首つりを見つけてしまって、いま警察から解放されて帰ってきた所だった。

15周歩いて休憩にと休んだベンチの隣の木。
その向こう側にぶら下がっていたそうだ。

おかん曰く、それ以来満足にご飯が食べられず痩せられたから結果オーライらしいが・・・

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