昔かな、北海道だったか、地震の時、海沿いの町が津波に襲われた。
逃げる間もなくその家族は津波に巻き込まれた。
父親は子供の姿を見つけ、必死になって子供のそばまで泳ぎ、子供を捕まえた。
子供は夢中でしがみ付いてきて、父親は泳ぎにくいのを我慢しながら、なんとか助かる方法はないかと泳ぎ着く先を探した。
少し離れたところに小さな女の子の頭が見えた。
流されている子が他にもいると思いながら、二人も子供を助けることはできそうになかった。
その女の子の顔が見えた。
自分の娘だった。
急いでしがみ付く女の子の顔を確認した。
近所の女の子だった。