アレは確か3年前。
大学に入って一人暮らしを始めて初めての夏休みだったと思う。
俺は高校生の頃は別に家の電話に子機もあって彼女との内緒話にも困らなかったから携帯持ってなかったんだけど、大学に入って携帯を周りの所有率が90%以上でみんな有ると便利だって言うからとうとう購入したのね。
実際便利で今も手放せないんだけど。
で、問題の話はその携帯電話にまつわる話。
確か2時か3時くらいだったと思う。
いきなり携帯が鳴ったのよ。
まぁ大学生だしそれ自体は珍しくないんだけど、時間が時間だし、自慢じゃないが俺はカナリ寝ぼける方で、その日もグッスリ寝てたし、着音で起きる事にもまだ慣れてなかったから半分パニクりながら慌てて電話をとった。
「も、もしもし」
『ザー・・・ザー・・・』
「もしもし?」
『ザー・・・ザー・・・』
「だれ~?」
『ザー・・・ザー・・・』
俺も寝ぼけてて、実際半分寝てたから向こうが無言なのも気にかけず、そんな一人会話を続けながらザーザー雨の強い音が聞こえるなー、さむそーなんて考えてた。
どれくらいたったころか?
いきなり30歳位かな?中年のオバサンの声で返事があったんだ。
俺:「もしもーし?」
オバサン:『あたしの携帯知らない!?』
俺:「は?携帯?」
オバサン:『そう、携帯!私携帯なくしちゃったの!』
俺:「ハァ・・・。大変ですねぇ・・・」
オバサン:『今山の中に居るの!今から直ぐそっち行くから!』
俺:「へ?山?何?」
ブツ!ツーツーツー
俺が事態が全然つかめないまま唐突に電話は切れた。
切れてから暫くは寝ぼけたままでボーっとしてたんだけど、あることに気が付いて稲妻に打たれたように一気に眠気が覚めた。
さっきの着歴番号が090ではじまってるってことに。
そして、相手が全然知らない奴だったってことに。
その二つに気が付いたら一気にさっきの電話のおかしな点に気がついた。
雨の山の中?何でそんなとこから電話が?携帯で?携帯無くしたんだろ?
一緒にいた奴のか?ていうか、山の中ってどうやっていったんだよ?
車?でも雨の音メッチャ聞こえてたし外でてたの?へ?は?何?
軽いパニックに陥った俺は、相手の最後の言葉を思い出してゾッとした。
こっち来るって・・・?
慌てて同じアパートに住んでる友達の家に転がり込んで、一晩ソイツと電気つけっぱで起きてました。
で、一番怖かったのは次の朝。
流石に一晩中起きてて眠くなってさ。自分の部屋に帰るときだった。
アパートの入り口に泥だらけの靴跡がブワァ・・・って・・・着歴にあった先ほどの番号を迷惑電話指定にして友達の部屋で寝ました。
コレでおしまいです。
その携帯は結局壊れちゃってデータの引継ぎが出来ないまま変えちゃったんですが、結局何の電話だったのか全然今でも分かんないっす。
幽霊にしてもサイコさんにしてもとても恐ろしい体験でした。
この事を話すと皆掛け直せばいいのに~って言うんですが、自分が体験者になってみると事実の追求なんてとても・・・。
君子危うきに近寄らずっていいますし。