実際に何かが来ていた

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

大学生になって2年目の夏休みのことだ。
その年の春に仲が良かった同級生の友人が一人亡くなり、少し憂鬱になっていた時期だったと思う。

アパートの2階に住んでいたんだが、確かその日は妙に涼しくて、夜は少し肌寒いくらいだった。
普段はタオル一枚で寝ていたが、その日は布団をかけて寝ていた。

夜中ふと目が覚めると体が動かない。
あまり経験はなかったが、金縛りだと気付いた。

友人を亡くしたこともあり、少し霊的なモノに少し臆病になっていた。
何も起こってくれるなよ・・・と願っていたが、何かが近づいてくる気配を感じた。

玄関―キッチン―居間というように繋がっているが、玄関からすーっと近づいてきている感じだ。
それはすーっときて、部屋の中央蛍光灯の真下で止まり、そこからじっとこっちを見ている気がした。

無論怖いのと金縛りで目は開けてないので、全てそんな気がしただけだ。
依然として動けず声も出せないので、早くいなくなれ、と念じ続けていた。

その後特に何が起こるわけでもなく、気付いたら朝だった。
あれはなんだったんだろう・・・夢だったんだろうか、夢であって欲しい、などと考えつつ、顔を洗い郵便受けを見に外に出ようとしたところで気付いた。

玄関の鍵が開いたままだった。
いろんな意味で肝が冷えた。

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