オカルト的な出来事とは違うけど、物凄く恐ろしいと思った事があった。
ずっと前のことだ。
ある山に一人で登っている時、ちょっと先の方の一本の木の幹が、不思議な色をにじませるような感じで光ってるのが見えた。
なんだろ?と思いながら近付いて行くと、それは光ってるのでは無くて、やや大き目の蝶の大群が、その木の幹に隙間も無く集まって止まっている所だった。
珍しいものに出喰わしたと思って嬉しくなり、わくわくしながら更に近付いて行った。
蝶には産卵や移動の時に大群になる事があるらしくて、きっとそれだと思い、初めて目にする神秘的な自然現象に感動でドキドキしていた。
ところが、もっとそばまで近寄って見て見ると、それは全部の蝶が一匹残らず標本みたいにピンで留められているのだった。
足首ぐらいから3メートルほどの高さまで、その木の幹にびっしりと蝶は貼り付けられていた。
瞬間、胃の中の物が逆流してくるような感覚に襲われて思わず逃げた。
躍り掛かって追いかけて来るような物では無いと頭では分かっていても、思わず必死に走って遠くまで離れた。
一体誰があんな事を・・・。
あんな不可解で恐ろしい光景は他に見た事が無い。