二人とも死んでいた

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

残業で23:00頃ビルに一人でいた。
別の課の電話がなっているのが聞こえる。

自分の机の電話から代理応答ボタンで取った。

「もしもし?」返事は無い。

ずーっと無言なので、いたずらかと思いスピーカーに切り替え受話器を置いて放置。
何か背景の音が聞こえるのでボリュームを上げる。

「・・・回のウラ、この回バッターはキヨハラ・・・」

どうもTVでプロ野球ニュースを見ているようだ。

『ははーん。会社の誰かが携帯のリダイアルを間違って押してそのままにしてるんだな。営業2部の電話だから2部の誰かだろう。いったい誰かな。クスクス』

そう思ってしばらく聞いていた。
なんとなく夫婦の語らいが聞こえるがそのうち寝たようだ。
面白かったのでスピーカーのボリュームをOFFにして回線はつないだまま帰った。

翌日、朝出勤してみるとまだ電話はつながったままだった。

『間抜けなやつだ、使うとき初めて気がつくのだろうな。それより電池が先に無くなりそうだな。ククク』

その朝、営業2部の新婚の牧○が来なかった。

寝坊か?

2部の課長が電話するも不在、携帯に電話したところ電源が入ってなかった。
俺の電話とつながっているのは牧○の携帯ではなさそうだな。

すると誰だ?

ためしにスピーカーのボリュームを上げてみた。

「ボギョ~~~~~ホギョ~~~~~~~~ン・・・」

うわっ!なん!

この世のものとは思えない音のような声のような、あまりの驚きに電話を切った。

その日、課長が家を訪ねたところ牧○夫婦は二人とも死んでいたらしい。

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