肉片を用水路に流した

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

何ヶ月か前に俺の町の国道で事故があったのよ。
大型トラックが歩行者を轢いてしまったっていう。

初めは、ウォーキング中のオバちゃんが歩道の無い所で渡ろうとして、トラックに轢かれてしまったという話が聞こえてきた。
しかし先日、ママンからその事故の詳しい話を聞いた。

どうやら自殺だったらしいと。

その自殺の原因が「旦那と喧嘩したから」らしい。
警察がオバちゃんの家に言ったときに旦那が「俺のせいだ」と口走ったらしい。
事故の数時間前に口論があったそうだ。

その旦那は家には住まず、小屋で暮らしていた。
死んだオバちゃんは何年も前に男を作って家を出て行っていたが、旦那が家を建てたと聞いて帰ってきて、家を奪い自分は新築の家に入り旦那は小屋に住ませていた。

大型トラックに轢かれたオバちゃんは、タイヤに巻き込まれ、肉片が飛び散り現場は騒然。
トラックの運転手はガタガタ震えて、警察にトラックを端に寄せろといわれたが、運転できなかったそうだ。

警察は飛び散った肉片を片付けなければならなかったが、薄暗いうえに小さな肉片を総て集めるのは困難だった。
それで消防車を呼んで現場を放水し、肉片を用水路に流した。
国道横の田んぼの用水路に。
農家激怒。

一週間後に旦那は自殺した。
居た堪れない話だ。

文面に表すとそうでもないが、ママンの口から生々しい事聞いちまったうえに、馬肉の煮付けを食った後に話されたもんだから精神的にきてしまった。

夕方に事故があって21時過ぎまで道路を閉鎖してたから、あの時まさに肉片を集めてたんだろうなぁ。

トラックの運転手が可哀想だ。

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