ただただ死にたかった姉

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

十年前、姉が二十歳の誕生日の翌日に首吊り自殺したこと。

遺書は「自殺。生きるのめんどい。ほんとにそれだけだから気にしないでね!今までサンキュー。一応身辺整理はしといたよ。でも全部はさすがに無理だったからゴメンけど後片付けヨロ!」だった。
ほんとにこれが全文だった。
軽すぎるわ。

こんな遺書残されたら「ざっけんな!」としか出てこず。

嘆くことも怒ることも出来ず。
残るのはずーっと気持ち悪いモヤモヤだけ。

警察の人もこんな遺書初めて見たって引き気味だった。
恐らくこんな理由で自殺する訳ないって我が家の健全性を疑ったのだと思う。

両親いわく虐待も疑われたようだった。

昔から無気力の塊みたいな人で、小学校に上がったあたりから「だるーい。何もしたくなーい。小学校行かない!」な人だったし、高学年になったあたりからちょくちょく「死んだ人はいいなー。何もしなくていいから、子どもとしての義務は二十歳で果たせるから(?)二十歳になったら死ぬね」と宣言していた。

どれだけ両親や私が、姉が楽しんで不安なく生きることが出来るよう手をつくしても「いじめとか親が悪いとかそういうことじゃないんだよ。ただ面倒くさいんだよ」と効果なし。

ずっと言い続けていたとは言え、さすがに誕生日の翌日に実行するなんて夢にも思わなかった。

姉の人生って何だったんだろうか。
姉妹仲は普通に良かったし、こんなことがあっても結局大好きな姉だし、死んでほしくなかった。

けど、本当に理解できない人だったと思う。

そんなに生きたくないくらい、私達家族や姉の周りの人々は姉にとってひどい人だったのだろうか。
それとも本当にただ生きること自体が苦痛で仕方ない人だったのだろうか。

未だにわからない。

このことがトラウマで、子供を作りたくないから子なし希望の夫と結婚したけど、夫には子供嫌いが理由と言っている。

子供に産んだことすら否定された上に、私達にとっては理解出来ない理由で自殺された両親を見てきたから、もし子供に自殺されたらと思うと怖くて怖くてたまらない。

さすがにこんなこと誰にも言えないわ。
両親と私だけが墓場に持ってく秘密だ。

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