人身事故の電話中継

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

学生の時、大学からの帰りに電車の先頭車両の一番前に乗っていた。

するとガッタンと何かに乗り上げたような感覚があったかと思うと急停車した。
最初は木の枝にでも乗り上げたのかと思ったら人でした。(後で分かった)

でも怖かったのは一緒に乗ってた小学生数人と引率の大人。
そのうちの女性の一人がおもむろに携帯を取り出すと、どこかに電話し始めた。

すると沿線の家のベランダから女性が顔を出す。
そこに手をふりながら「ねぇ、どうなってるか分かる?え、人の手が見える?うそ~!!テレビ来るじゃん!すごくない?」と。

ものすごく嬉しそうに話しているのを聞きながら私は意識が遠のいた。

再び目覚めるとそこは病院。
カーテン引いた隣から「手足分裂だって」「体育座りでいたんだとか」「テレビとかすごかったんだって」など聞こえる。

付き添ってくれていた友人(一緒に電車にも乗っていた)がカーテンを引くと、医者と看護婦が罰の悪そうな顔でこちらを見た。

看護婦:「そうだった・・・乗っていたんでしたよね」

気絶したのは私だけだったそうだが、しばらく座席に放置され、周りを別車両にいた友人たちが駆けつけて来てくれて、囲み他の乗客からの視線をシャットアウト。

しかし乗客たちを降ろすために座席を乗務員たちはどんどん外す。
私が寝ているのも構わずに外そうとするのを、一人のおじさまが「まずはこの子を何とかしてやれ!!」と怒ってくれたそうです。

小学生の中にはそんな私を写真に撮ろうとしていたのもいたそうですが、友人が無言で睨み付けてやめさせたんだとか。

全部かなり後になってから聞いた話ですが、(ショックが収まるまで伏せていたそうです)、霊より生きている人の方が怖いと思った。

なぜならみんなものすごく嬉しそうにしていたんだとか。
おじさま以外、みんなテレビにピース、取材に嬉しそうに答えていたらしい。

衆人環視で救急車に乗せられる私を友人たちは必死に視線からかばってくれていたそうです。

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