祖母から聞いた話だ。
祖父はボケてからというものの、寝室から一歩も出なくなった。
そして同じ場所、同じ姿勢で一日中ボーっとしていたらしい。
介助に限界を感じた祖母は祖父を施設に預けたのだが、ある朝、施設から祖父が失踪した旨の電話を受ける。
気が気でない一日を過ごした祖母が、その夜気配を感じて目覚めると、暗闇の中祖父が座っていることに気付いた。
驚いた祖母は電気をつけて祖父に何故帰って来たのか聞いた。
すると祖父は黙って正面を指差したという。
いつもと同じ場所、同じ目線で。
心霊系ではないが、とにかく不気味さを感じる話だった。