間違ったハングリー精神

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

大学の時、地方から上京して学生寮に住むことにした。

いろいろな大学の学生が住んでいたが、共用のラウンジがあったので寮生同士割りと仲はよかった。

ある夜、俺の部屋でモノポリ(ボードゲーム)をすることになった。
俺の他に寮の人が3人ね。

一人、韓国の留学生がいたんだけど、こいつが後々厄介なことになった。
あらかじめプレイヤーに、おもちゃのお金が配られて破産すると負けで、最終的に一人だけ勝ち残るゲームなんだけど、留学生が最初に破産した。

それまで真剣な表情だった留学生が糸が切れたように無表情になったから、俺達は「あー、負けちゃったねー」みたいに笑顔まじりでちゃかしてたんだけど、突然、韓国人がものすごい剣幕で「なに笑ってんだよっ、だいたいルールよく知らないし勝てるわけないっ!」とかブチ切れて、モノポリのボードをひっくり返して、隣りの寮生の髪を引っ張りだした。

俺達二人はドン引きしながらも慌てて留学生を取り押さえて、その日はお開きということで、留学生も部屋に帰したんだけど、心底その留学生を招いたことを後悔したし、そんなやつと思わなかったからショックもあった。

それで後日、部屋でくつろいでいるとドアをドンドン叩く音がするから、のぞき穴から見てみると目が血走ってるその留学生。

叩きながら「モノポリしよっ、前はルールよく知らなかった。勉強してきた。」って言ってる。

当然、俺はあの時の事が脳裏に蘇って恐いから居留守したんだけど、次の日もその次の日もしつこくドアを叩いてモノポリしたがる。

仕方ないから俺はまた寮生を集めモノポリをしたんだけど、ゲーム中、その留学生の一つ一つの行動が気になって、生きた心地がしなかった。
一人だけめちゃめちゃゲームに熱中してるし・・・。

何かあったら部屋破壊するんじゃないかって思って、結局、俺達は留学生に勝たせて、ご機嫌のまま部屋に帰らせたから、今回は何も損害がなかった。

韓国人怖いっていうのと、負けず嫌いなところというかハングリー精神にある意味感心した出来事だった。

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