DNA鑑定は時として悲しい現実

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

子供が全然自分に似ていない、さりとて嫁にも似ていない。

・・・ということで隠れてDNA鑑定したら親子の可能性は限りなく低いと結果が出た。
激怒して妻をなじり離婚準備を進めた。
俺親も嫁を詰ってひどい修羅場だった。

嫁は一貫して浮気していない、何かの間違いだと言っていたが、弁護士に任せて妻との直接の話し合いはしなかった。

しばらくして弁護士がおかしなことになったと言ってきた。
妻は妻側で子供のDNA鑑定をしたらしいが、妻とも鑑定結果が一致しなかった。
つまり子供は俺の子供でないのと同時に、妻の子でもなかったわけだ。
でも妻が出産したのは間違いない事実で、じゃあこの子は誰だ。
そしてうちの子はどこにって事になった。

結果として犯人は、当時うちに出入りしていて半月ほど先に子を生んだ従妹の仕業だった。

当時妻は産後の消耗が激しく、枕から頭が上がらないほどだったので、結局半年ほど入院生活を送っていた。

うちは両親ともに働いてるし女手がない。
そこで近所に住む従妹に謝礼を払って毎日面倒&月の半分くらいは一日中子供を預かってもらってた。

そこで意図的に子供を入替えたらしい。

妻が退院した後は従妹の子を自分の子だと思ったまま育てていたことになる。

当時子供は五歳。
従妹はその三年ほど前に離婚して子供を連れて姿をくらましていた。

その後色々あって、一方的に浮気を疑い話し合いを拒絶したこと、かなり酷い暴言を俺親から言い放たれてトラウマになったこと、子供の入れ替えをしたのが俺の親族であることを理由に、かなりの慰謝料とともに離婚をつきつけられた。

DNA鑑定の結果が出るまで孤立無援状態で自殺も考えたと言われたら拒むことは出来なかった。

妻の言い分を全て聞いたため実家の家を手放した上に、本家が身内の恥ということでそれと同額くらいの金を口止め料として妻に支払った。

妻は警察に通報しろ、実子を取り戻すか、せめて今幸せにやっているのかだけでも
知りたい・・・とかなり泣いたけど、外聞を憚った本家&うちの親が総出で土下座してこらえてくれと頼み、結局表ざたになる事は無かった。

子供は色々あって俺が引き取ることになった。
結局従妹は見つからずいまだに音信不通。

妻も今どうしてるかは判らない。
離婚して数年後、再婚したのだと風の噂に聞いた。

子供は10年前に成人して家を出て行った。
こちらも今は音信不通。

父は7年前、母親が暮れになくなり、気が付いたら俺は一人ぼっちになった。
なんでこうなったんだろう。
幸せだったのに。

今でもまだDNA鑑定する前の、俺が惚れて俺に惚れてた嫁と可愛い子供と俺との三人家族の夢ばっか見る。

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