メンヘラの最後の顔・・・

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

規制から解放された記念に。
私がまだ小学生くらいの時の修羅場。

団地の最上階に当時は住んでいて、確か9階だったと思う。
まだ夏も真っ只中な深夜、網戸だけにして家族で川の字で寝ていた。

そのとき、お隣の部屋からものすごい音がして目が覚めた。
物を投げる音とか、女の人の金切り声。
どうやらとなりの人が浮気をして、お嫁さんにバレた模様。

そのお嫁さん、精神に異常をきたしている人で、いわゆるメンヘラさんだった。

なんで私を、とか、こんなに私は愛してるのに、とかキンキン声で叫んでいた。

両親が顔を見合わせたとき、となりの部屋の窓が空く音がして、「こんなことされるなら死んでやる!!」とお嫁さんの声がした。

慌てて父が網戸を開いてベランダへ出たとき、お嫁さんがこちらのベランダ側へとわたって来た。
柵の外側で、手を離せばそのまま落下してしまう状態。

「危ないですから!!やめましょう!!」と父が手を伸ばしても、お嫁さんは断固として動こうとしない。

柵の外にいるので引き上げようにもなかなか難しく、片手を離して父を振り払うのでとても危なかった。

「おい○○!!」

お隣の旦那さんが身を乗り出して叫んでいたが、その声にキーキーと言葉にならない叫びをあげるお嫁さん。

母が110番しようと急いで電話へと向かったとき、そのお嫁さんと目があった。
もうなんというか、虚ろなのにギラギラした目だった。
そして、目があった瞬間、お嫁さんが何かを叫んだあと、手を離してしまった。

団地のいろいろなところから悲鳴が上がっていた。
思わず確認しようとすると父に止められた。

すぐに警察がきて、いろいろ話を聞きたいと父がつれていかれたり、母がしばらく情緒不安定になったりした。

おとなりさんはすぐに何処かへ引っ越していった。

今でもあのお嫁さんの顔は忘れられない。

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