女の人形と暮らす男

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

実家の近所に大金持ちのお宅があって、男性が一人で住んでいた。
私が実家にいた18歳の時、まだ40代だったけど、見た目が70代くらいに見えてた。
働いておらず、一日中女性の人形を作っていた。
等身大で目がガラスか何かで綺麗で、体中の関節が動くやつ。

時々庭にテーブルを出して、そこに人形と向き合って座って髪をとかしたり話しかけたりしていた。

大人になって知ったが、彼は奥さんを亡くしていて、その奥さんの人形を作り続けていた。
新しい人形が出来ると、古い方は壊して目を取り出して新しい人形にはめる。
その作業を40年近く続けていた。

人形を一体作り上げるのにかかる時間は一年から二年だった。
人形が20体目を数える頃気が付いたが、人形のお腹は膨らんでいた。
亡くなった時、奥さんはお腹に赤ちゃんがいたそうだ。

奥さんの死因は、旦那さんから移った水疱瘡だったらしい。
人形のお腹が臨月くらいになったある日、旦那さんは自殺した。

親族はおらず、顧問弁護士が遺言に従い人形とともに埋葬したって聞いた。

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