突然の異常行動の際は”それ”を疑ってください

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

ある日スーパーで買い物して、買い物袋を下げて駐車場を歩いていたら、後ろから急に腕を引っ張られた。
二十代くらいのパッと見は普通の男が笑顔で「そっちじゃないですよ、僕の車はこっち」とぐいぐい引っ張る。

「え?人違いじゃないですか」と腕を振りほどこうとすると、「間違ってませんよ、さあ帰りましょう」と目を見て言われ、そこで初めて『この人はヤバい人だ』と背筋が凍った。

パニックになってしまい、助けを呼ぼうとしたけど声が出ず更にパニックに。
けど車に乗ったら終わりだ、と足を踏ん張っていたら、隣に駐車していた男性がたまたま戻ってきて異様な光景にギョッとして声をかけてくれて、そこでなんとか警備員を呼んでくれるように頼むことができた。

バックヤードで警備員が男に話を聞くが「自分は彼女(私)の婚約者でありなんの問題もない、少し彼女がナーバスになっているだけだから早く帰してくれ」と、ごくごく自然に、時折私を気遣い引き寄せようとしながら応える。

あまりに堂々とした態度すぎて警備員も助けてくれた男性も「あれ?痴話喧嘩?」みたいな空気になってしまったんだけど、その男のことなんて知らないこと、突然車に乗せられそうになったこと、私は結婚していて(指輪もしてる)子供もいることなどを必死に話した。

警備員に問い質された男は
・結婚してることも子供がいることも知っている
・よくこのスーパーで見かけて好きになった
・土曜や日曜も子供を連れて買い物してる→旦那と不仲→僕が結婚すればいい
という超理論をかまして結局警察に連れていかれた。

その後、男の両親が田舎から駆け付け土下座の謝罪。
私の旦那がたまたま激務で休みが全くなかったこと、夫婦仲はとても良いと知った男が
憑き物が落ちたようにまともになり「なぜあんなことをしたのか自分でもわからない、
怖い思いをさせてしまい大変申し訳ない」と、青い顔で謝罪してきて、甘いかもしれないが色々考えた末、引っ越し費用と少しの慰謝料を頂いて示談にした。

その後、その男の言動がおかしいと両親が病院に連れて行ったら脳に腫瘍が見つかったそうだ。

だいぶ前の出来事なんだけど、つい最近その男の知り合いという人と偶然知り合った。
聞いたところ男は手術が上手くいって、今では海外でバリバリ働いているらしい。

腫瘍のせいで人格や性格が変わるって本当にあるんだなーと思った出来事でした。

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