足元付近に血まみれの女、霊だと思ったが

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

学生時代、俺はアパートでひとり暮らししてた。

ある日酔って帰って、着替えもせずにベッドに倒れ込んで寝ていたんだが、ふと夜中に目を覚ましたら、ベッドの足元付近に血まみれの女がいた。

俺が起きたことに気付いて、女がゆっくり俺にすがりついてきた。

ひたすら「たすけて・・・」しか言わないの。
最初は引いてた俺も、ちょっと冷静になってきて、とりあえず警察呼んだんだ。

外で足音と、なんか声がするから警察がきたかと思ってドアを開けた。
そしたら手を血だらけにした男が、部屋のドアから3mくらいのところにいたんだ。

バッチリ目があって、コイツはヤバい!と判断した俺は、急いでドアを閉めようとした。
でも男がドアに足を挟んできて、ドアを閉められなかった。

ドアを閉めようとする俺と、ドアを開けようとする男で、どちらも引かなかった。
あの女は、この男から逃げて来たのかな・・・。

でもどうして俺の部屋にいるんだろうとか考えてた。

そしてふと視線を室内にやると、女が包丁を持ってこっち向いて立ってた。
今にもこっちに襲い掛かってきそうな、そんな雰囲気。

ヤバいやつに挟まれてしまい、俺は身を低くして一気に外に出ようと思った。
ドアノブから手を離すと同時にしゃがむと、一気にドアが開かれた。

男は部屋に入ろうとして、俺の身体に躓き、バランスを崩した。
男はその体勢のまま女にぶつかり、女は包丁を振り下ろし、男の背中に突き刺さった。

そこで警察が到着。
後日聞いた話では、女は同じアパートに住むホステス。(生活が俺とは昼夜逆だったから面識はない)

自分の部屋で男に殴られた女が逃げた時、脱ぎ散らかした靴がドアに挟まり、微妙に開いていた俺の部屋のドアを見て入ってきたそうだ。

男が俺の部屋にまで追いかけてきたことがわかり、脅すつもりで包丁を構えたが、男が勢いよく入ってきたことでパニックになって刺してしまったよう。

とはいえ、殺意が合ってのことではないからか、刺さったのは先のほうだけで、男の怪我はたいしたことはなかったようだ。

女は歯がかけて、顔の痣もひどく、殺されるかと思ったとのことで、正当防衛が認められるだろう、とのこと。

文章にするとたいしたことないけど、俺の部屋での傷害事件、血が付いたベッド、当事者の俺にとってはいろいろと洒落にならない出来事だった。

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