俺が20歳の時の話。
成人式が終わったあと、俺は友達と一緒に居酒屋で夜遅くまで飲んでいた。
思い出話に花が咲き、気が付いたら終電の時間をとっくに過ぎてしまっていた。
家まで歩くのも面倒だったから、2歳年上の彼女の家に泊めてもらうことにした。
この時間だと彼女も寝てるだろうと思って連絡はしなかった。
彼女の家に着くと、案の定電気が消えていた。
合鍵も持ってるし、無理に起こしたら可愛そうだと思って物音をたてないようにゆっくり鍵を開けて中に入った。
リビングで寝ようと思ったけど、なんとなく彼女の寝顔が見たくなって彼女の寝室へ。
寝室は真っ暗で何も見えなかった。
彼女の寝顔を見るにはまず保安灯ぐらいつけないと・・・そう思って電気のヒモを探してたんだけど、暗さに慣れてくるにつれ、なにか違和感を感じた。
どうも何かが動いている気配がした。
なんだろうと思い、よく目を凝らして見てみると、彼女のベッドの横に誰かがいることがわかった。
とっさに電気を付けたら、異様な光景が広がっていた。
ベッドには彼女が寝ていて、クラシアンの制服みたいな格好をした男が彼女の指を舐めまわしていた。
俺はソイツが何者なのかは置いといて彼女に手を出されたことに腹が立って問答無用で殴りかかった。
クラシアンも俺に気づいて抵抗しようとしたが、もうフルボッコ。
俺が冷静になった時には、もうクラシアンは顔面血だらけで号泣してるし、なんか可愛そうになってきて、とりあえず警察は呼ばないでそのまま返してあげた。
彼女から事情聞こうと思ったんだけど名前呼んでも、揺さぶっても起きない。
結局彼女が起きたのは6時ぐらいだった。
彼女によると、夜中に水質検査をしたいといって突然クラシアンが現れたらしい。
水質検査をしている様子を見ていると突然何かの薬品と水を混ぜて飲んでみて下さいと言われたそうだ。
最初は、そんな得体の知れないもの飲みたくないと言ったそうだか、これも検査ですといわれて渋々飲んだらそこから意識がとんでしまったそうだ。
その後、しばらく彼女の家に泊まっていたが、クラシアンが現れることはなかった。
しかし、もし俺が早めに飲み会を切り上げて終電に乗れていたら、今頃彼女はどうなっていただろう。
そう思うと、少しぞっとします。