通り魔事件の真実

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

中二の時に遭遇したちょっとやばい話をする。

これは霊的なものではない気もするが、めちゃ怖かったから語らせてもらう。

当時俺は学校でも名の知れた悪ガキで、その上激しく中二病発症してたから先生方からもすごくめんどくさがられてて、俺最強じゃね、とか本気で思ってた。

思春期真っ盛りの夏、俺の実家の裏にある雑木林で事件が起きた。

芝刈りしてた自治会長さんと買物から帰る最中だったおばさんが通り魔の被害にあったと。

母ちゃんたちがしてたその話を聞いてフィニッシュする前に止まることは滅多に無いシコシコモードの俺の手は止まった。

しめた。
最近刺激が足りないと思ってたところだった。
ここはひとつ、通り魔の野郎をこのゴッドハンドで締め上げてみせよう。
とか考えてた俺は手の施しようの無い阿呆だった。

そんな意気込んでた俺も一晩寝たら勢いも収まりどうでもよくなった。
普段通り毎日をタラタラと過ごしてた。

そんなある日、あの出来事は起きた。
母ちゃんが通り魔にやられたんだ。

腕を鎌でぶった切られ、病院に救急搬送された。
なんとか一命を取り留めたが、何針も縫う大怪我だった。
犯人は捕まらず、ものすごい騒ぎになった。

俺は泣きながら母ちゃんの手を握り復讐を決意した。
今度は一晩寝て収まるような勢いではなく、これまでに無いほど念入りに準備し復讐に備えたんだ。

そして夏休みが終わる4日前、俺は完全装備で雑木林へと足を踏み入れた。

母ちゃんや自治会長が襲われた日には共通点があって、どちらも水曜日の午後だった。ので、俺も水曜日の午後を選び雑木林へ赴いた。

俺はバカだからドイツ軍のヘルメットとエアガン、金属バットで通り魔に立ち向かおうとした。

息を潜めて待ったが、一向にも通り魔は現れない。
日が暮れ、暗くなって、もう諦めようとして、おばさんが襲われた道に立ったとき、振り返るとやけに背の高いホームレス風の男がいた。

手にはナタが光っていた。
一瞬で通り魔だと悟り、先手必勝で金属バットで殴り倒した。

男はそれきり動かず、死んだかと思ったが息をしてたのでほおっておいて家に帰った。

血がついたバットを見た親父が「お前、何した」と聞いてきたからカラスがつついてきたから、と言い訳した。

その日の晩、便所に起きたら、変な臭いがした。気にせず寝たがね。
次の日の朝、親父に叩き起こされた。

警察がリビングにきていて、「俺さん。話を聞いてもよろしいでしょうか」と言われた。

なぜそうなったか。
まず一つ、家の玄関に小動物の死体が山積みになっていたから。
何故かは知らん。俺はやってない。

次に、通り魔のホームレスはあの後死んだらしい。
手にナタがあったため、無論正当防衛が成立し、俺無罪。ホームレスが持っていたナタから自治会長と母ちゃんの血が出て通り魔はホームレスと断定。バットは鑑識に回されそれきり帰ってきてない。

小動物の山が気になったが、それきり何も無く今日まで平和に過ごせた。

何故この話をこのタイミングでしたか。

つい2、3時間前、職場の近くの公園を歩いてたら長身のホームレスが「@¥$#?だから・・・@¥$#?だから・・・」とかつぶやきながら俺の横通って思い出したからだ。

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