取引先の話。
従業員が無断欠勤とかで、一人暮らしのアパートにも実家にもいなかったらしい。
若い子だったから、アルバイトのノリで逃げたのかねぇ・・・と取引先では考えてた。
数ヶ月後、彼は遺体で見つかった。
彼は取引先のビルと、隣のビルの隙間にいた。
都心の大通りに面していて、毎日大勢の人が行き交う場所だったが、ずっと誰にも気がつかれなかった。
なんか変な臭いがする・・・とビルの掃除のおばちゃんがしばらく前から言っていたらしいが、取引先は地下の下水の臭いだと思ってたそうだ。
遺体を出すのも苦労するような細い隙間だったから、かなり大掛かりなことにはなったが、新聞で小さく記事になっただけだった。
都心では、たまにあるケースらしい。
この話を聞いて以来、私は狭いビルとビルの隙間は見ないようにしている。