後輩から25年前に聞いた実話。
彼は田舎から出てきた新入社員だった。
会社は大手鉄鋼会社の系列IT企業。
なので、親会社の独身社員寮がウチの会社でも使えたんだ。
新しめの寮は親会社の社員が入居するため、古い老朽化した社員寮を系列会社に回している。
当然彼も、その築30年ほどの、2年後には取り壊しが決まった社員寮に入居する事になった。
廃墟寸前のその古い社員寮、きっと色々といわくがあったと思う。
それでも家賃&2食付きで2万7千円だった格安物件だったから、「まぁ、こんなもんか・・・」と思い入居を決めたらしい。
そんな彼が半年で寮を出ていく出来事がおこった。
それは彼が遅めの夕食をとっていた食堂でいつものごとくコバエが飛び回っていた。
老朽化で衛生面にも灘があるため、食堂も御多分に漏れず綺麗とはいいがたい。
コバエが常に飛び回っており鬱陶しい事この上ない。
その日は何時にも増してコバエが多かった。
何の気なしに冷奴に醤油をかけ、それを食べながらコバエを目で追っていた。
そうすると目の前を飛んでいたコバエが、どんどん醤油差しの口に入っていく。
入っていくだけではなく、出てくるヤツもいる。
彼はその時とてもイヤな予感がしたそうだ。
止せばいいのに醤油差しのフタを開けたところ、結構な数のコバエが飛び立ち、フタの裏にウジ虫が数匹と蛹・・・。
その場でゲロったと言っていた。
そして翌日には退寮し、同期の家に転がり込んだ。
彼がこの話を俺にした時、「食堂のおばちゃん、醤油入れ替える時に気付かなかったのかな?」と言ってた言葉を今も覚えている。