熊本にある「だご焼き」屋さん

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

10年くらい前に一度だけ熊本の「だご焼き」屋さんに行った。

有名な店ではなく、ボロい木造のほっ建て小屋みたいなとこで婆さんが1人でやってる店だった。

中に入ると店の婆さんと、長髪白髪で何かのアニメのぬいぐるみを抱きかかえた婆さんが並んで座っていた。

メニューは壁にズラッと並んでいて、どれもほぼ100円。
くそ安い。

とりあえず、だご焼きを頼んだら、奥から青いバケツを持ってきて、それに入ってただご焼きの生地を鉄板に流し込んでくれた。

いつひっくり返していいのかわからないので、店の婆さんに尋ねると、「聞こえない?」と言われた。

聞こえない?の意味がわからずフリーズしていると、「聞こえない?声が聞こえない?(たぶん生地から)」と言いながらだご焼きをひっくり返してくれた。

わけがわからなかったが、少ししてもう食べれそうだったので食べてみた。

なんとも言えない不思議な味だった。
自家製タレみたいなのが置いてあるんだけど、それも謎の味だった。

その間、婆さん2人は水前寺清子の365歩のマーチを歌ったり、何やら話をしたりしてたんだけど、ふいに白髪のぬいぐるみ婆さんが離れた席から、「あんた男前ねぇ、芸能人?」と俺に聞いてきた。

言っとくけど俺は当時彼女もできたことがない不細工な大学生だった。

「いやぁ~芸能人ではないですねー・・・」とか言ってたら、白髪婆さんは「あんた男前だから芸能人になった方がいいわよ。ね、○○」と、ぬいぐるみに話しかけていた。

赤ちゃんをあやすようにして、当たり前のようにぬいぐるみに話しかけていて、結構怖かった。

その後もしばらく芸能人になることを勧められたが適当に流して会計して帰った。

こうして文にするとそこまで異様な感じではないけど、実際には狐に摘まれたかと思うほど異様な雰囲気で怖かった。

もう10年も前なので今はないかもしれないけど、確かに実在した店で、熊本のグルメ雑誌にもだご焼き屋として載ってたらしいから行ってみたい人は探してみてもいいかもしれない。

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