クソガキの仕業

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

ある朝、マンションの単車置き場に向かう途中、背後で『カーンッ』と甲高い音がしました。
コンクリートタイルの通路にジュースの缶が転がっています。
見上げると、小学生くらいの男の子と女の子が6階のベランダから顔を出していました。
ニヤニヤと笑っているところをみると悪戯のようです。

「これを放ったの、僕たち?」

子供達がコクコクと頷きました。

「こんなことしたらダメよ、分かった?」

二人の子供は、相変わらずニヤけながらこっちを見下ろしています。

「何笑ってるの!」

私は少し声を荒げました。
空き缶とは言え、頭に当たれば怪我をするかもしれません。
再発を防ぐ意味でもきちんと注意した方が良いと思いました。

「ここは小さい子も通るんだから、物を投げたら危ないのよ。分かった?」

「うるさい、ばばぁ」

男の子がそう叫ぶと、二つの頭が引っ込みました。
無性に腹が立ちましたが、仕事に遅れるわけにもいかず、その場を離れてスクーターで職場に向かいました。

その日の夜、スクーターを置いてから例の場所を通りました。
今朝の出来事を思い出すと、また怒りが込み上げてきました。
・・・その時、顔の前髪に触れるか触れないかのところを何かが通過しました。

『ドサッ!』

足元に、きつく縛られガムテープで補強された新聞紙の束が転がっていました。
両手でやっと持ち上げられるくらいの大きさで、まともに当たっていたら、只では済まなかったでしょう。

ゾッとしながら、視線を上げると5階のベランダから、無表情な女の顔が引っ込むのが見えました。

板橋の高●平にあるマンションです・・・。
あのクソガキの親を呼び出して何とか言ってやりたいですが、多分、親も同類のような気がしてます・・・。

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