宗教系の病院にて・・・

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

彼の家はとても信仰が深かった。
彼も親の信仰している神様を信じ、毎日が穏やかに過ぎていった。

両親はスクスクと育つ彼を見て、とても幸せでした。
神の力か頑張った父親のおかげか・・・お母さんは新たな生命を授かったのだった。

そして彼は知ったのだ。
待望の弟(妹)ができることを。
嬉しさの余り学校でも家でも子供のことを話していた。

やがて臨月がくると母親は信仰している宗教系の病院に行った。
父親も彼を連れて母親の居る病院に行く。

母親がベッドに乗せられたまま、大きな扉の向こうに吸い込まれて行く。

「もうすぐ生まれるんだよね?」

彼の瞳は期待に輝いてた。
父親も嬉しさの余り涙ぐんでいる。

何時間経ったろうか?
もう何日も経っているような気がする。

突然扉が開き、医者が飛び出してきた。

「大変な難産です。お父さんも力付けてあげて下さい!ほら、君も!」

扉の向こうでは母体と生まれ出ようとしている小さな生命を救うべく・・・医者達と看護士たちが必死になって、神様に祈る踊りを踊っていた。

父親は流石に眼がさめて救急車を呼び他の病院にいって母子ともに無事出産できたそうな。

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