近所でも有名な泣き女

AV仕様の最強媚薬・エロティカセブン

媚薬・エロティカセブン

深夜、不審な徘徊を繰り返す人。
大抵どこの街にでもある話なんだが・・・。

私が住むのは工業地帯のベッドタウン。
周囲はほぼ住宅地。
大きなビルなんてまずない・・・。

今は旦那と二人で3DKのマンションに住んでいるが、そこから歩いて5分の所に私の実家はある。
一大住宅街のど真ん中にぽつんとある神社。
そこに私の実家がある。

これをいうと実家が神社やら神道やらいわれるけど全然関係ない。
理由はよくしらないけれど、一種の管理人みたいな感じ?
家族は仏教徒だし、別に巫女さんとかもしてるわけじゃない。

まぁ、でも実家の扉を開けたらすぐ目の前が神社の境内なので、そりゃあ、いろんなコトがありました。

その中の一つが、泣き女。
私の部屋は境内に面した所にあったので、窓越しにいやでもそいつの声が聞こえてくる。

深夜1時~2時頃、毎晩というわけじゃないけれど週に一回は泣き女の泣き声が聞こえた。
泣き声と書いてはいるが、泣き声といったほうが正しいかもしれない。

「おぉおぉ・・・ぅおおおぉぉぅ・・・」

とすっかり寝静まった住宅街に泣き女の獣ような泣き声はよく響いた。

初めて聞いた時は、得体の知れない妖怪でも現れたのだと布団の中で震えていたのをよく覚えている。
幾度とそういう夜を過ごすうちに、それが確かに人間の声だとわかるようになった。
きっかけは近隣住民の通報・・・。

夜中に大声で「おぉおぉ」と騒いでたら、そりゃあ誰だって警察呼ぶわって話。
しかし警察がくる頃には泣き女はさっと姿をくらまし、いつもうちが事情を説明していた。

何度とそういうコトがあった挙げ句、私が泣き女じゃないのかと警官にいわれた時には心底頭にきた。
親もさすがにカチンときたらしく、警官に食ってかかっていた。
それからまもなく、神社の前がパトカーの深夜パトロールのルートに加わったことで泣き女もそう頻繁には現れなくなった。

正体がわかれば変なもので、恐怖からやがて怒りへと変わっていき、時折、現れても無視することができるようになっていった。
ただ、正体がわかった、といっても相手は少なからず生きている人間で女だということぐらいで気味が悪いということには違いないし、真っ向から立ち向かってやろうなんて勇気はなかった。

ところがある日、深夜のバイトが終わって家に帰ると、運悪く出くわしてしまった。
泣き女に・・・。

いままで不思議と鉢合わせになんてコトはなかったのに、その日は本当に運が悪かったのか、それとも今までたまたま運がよかっただけなのか。

神社の境内にはぽつんと小さな灯りがあるのだが、その灯りから少し離れた所にゆらゆらと動く影がみえた。

誰かいる・・・。

ただその時はぞっとするほどという恐怖心はなかった。
というのは、夜に神社にお参りにくる人は珍しいが、ないわけではなかったからだ。
ただ、不審者かもしれないという思いはあったが、あいつが現れるのはいつも深夜1時~2時。
まだ0時を回って間もない。
まさか、泣き女だとはその時思ってもいなかった。

いつものようにサッと家の玄関に向かって鍵を開けて家にはいる。
それでいいはずだった。
神社の境内には砂利が敷いてある。

『ジャッ、ジャッ、ジャッ・・・』

走るのも変なのであくまで足早に玄関に向かう。

『ジャ、ジャ、ジャ・・・』

「ふぅ」と一息。
玄関までついた。

あの人影もこちらに反応をしめした気配はない。
大丈夫、あとは鍵を取り出して・・・。

『ジャ・・・ジャ・・・ジャ・・・』

!?動いた。動いてる。
砂利の上をあの人影が歩いてる。

いや、大丈夫、ただ歩いてるだけだ。
さっさと鍵を開けて、・・・こんな時に限ってなかなかみつからない。
・・・はやく鍵を開けて・・・!!

「おぉおぉぅ・・・ぅおおぉぉ・・・!!」

背筋がぞっとした。
泣き女だ!
あれは泣き女だ!

まずい。
確実にあいつは私を見ている!
そんな気がする・・・。

いや、見ていないわけがない。
こっちに気付いてそれでもなお、あいつは泣いてているんだ。
あせって鍵が見つからない。

「おぉおおおお!!うぉぉぉぉうぅぅ・・・!!」

泣き女が泣く。

『ジャ、ジャジャジャジャ・・・!』

泣くながら歩いている。
・・・こっちに向かっている?

そう思った瞬間、必死に玄関のドアを叩いて、インターホンをひたすら押した。

私:「お母さん!あけて!あけて!はやく!!」

必死に叫んだ。
怖くて後ろはふり返れない。
私が必死にドアを叩き続ける間もあいつは鳴きながら砂利を鳴らしている。
こっちに近づいてきている!

時間にして1分ほどだったかもしれない。
果てしなく永く感じた。
玄関にポッと明るくなる。助かった。

私:「はやく開けて!開けて!」

まだ安心はできない。
鍵があくまで、ドアが開くまで。

母:「いい加減にしなさい!何時だと思ってるの!だから深夜のバイトなんて私は・・・」

私:「そういうの後できくから早くあけて!」

深夜にたたき起こされて、さらに近所迷惑もかさねて母の怒りは絶頂だったに違いないが、今は扉越しの押し問答をやってる余裕なんてない。
後でどれだけ説教くらってもかまわない。
一刻もはやく家に入りたい。

私:「あいつがきてるの!」

母:「え?」

母も事情を察してくれたらしく、さっさと鍵をあけてくれた。
ドアが開く!サッと後ろを確認した。
あいつは!?

・・・泣き女はただ、砂利にうずくまってひたすらに泣いていた。
時折、砂利を手で掬い上げては、四方に投げ飛ばしていた。
砂利の音はこれだった。

あいつが近づいてきていると思ったのは私の勘違いだった。

「おぉぉぉ・・・うぉぉおお・・・」

その姿は、なんとも憐れで、とても哀しそうだったのが今でも目に焼き付いている。
私は、どっときた安堵感とその異様な光景にただただ呆然と立ち尽くしていた。
家に入ることも、怒りの絶頂にいた母が自分の前にいたこともすっかり忘れて。

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