中学の時からの友人でさ、Kって言う女の子がいるんだが、その子の話をしたいと思う。
うちの中学は二つの小学校から生徒が入学してくるんだけど、Kは俺とは別の小学校から来た女の子だった。
初めは接点なかったんだけど、Kが下らない理由でいじめられてたときにK自身がばっさりといじめっ子達を撃退して、こいつまだ中1なのにすげーな、って思ってたのは覚えてる。
そんな感じにしっかりした子だったし、顔も可愛くて、面白くて、頭も良かったからいじめなんてなくなって人気者になってたんだ。
で、中2で同じクラスの隣の席になった。
Kは普通に可愛い女の子なんだけど、一つだけ不思議なところがあったんだ。
男女別の授業があったときのこと。
俺ら男の方は四階の西側で理科の実験してたんだ。
そのときクラスメートの一人が突然暴れだして実験機具が割れて、大騒ぎになったことがあった。
でも俺はそのときトイレ行きたくて、騒ぎで授業終了のチャイムがなった後もみんな教室に残ったままの中、一人で三階のトイレまで急いでた。
そっちのが近かったから。
そしたら、女子たちが丁度教室に入ってきたところで、その中にKもいたんだけど、いきなり俺のとこに来て、「なにがあったの?」って首かしげて聞いてきた。
なんでこいつ知ってるんだ?って、びっくりしてトイレ行き忘れた。
それくらいびっくりした。
だって女子はそのころ、二階の東側にいたはずで、俺らの大騒ぎなんて聞こえるはずなかったから。
Kのそういう超直感?みたいなのはこれだけじゃなかった。
Kの直感?はよく当たった。
俺が高校行きたいとこ落ちるのも当てた。
「明日雷だね」って言ったら、ほんとに翌日雷鳴った。
Kが「なんかやな感じ」と言ったら、その日の朝学校の前で事故が起きた。
ばあちゃんが死んだとき、直前に「だいじょぶ?」ってメールきた。
ばあちゃんが病気なの俺も知らなかったのに・・・。
コンビニに行ってくる、ってメールしたら珍しく「気を付けて」って返信があったからなんだろうと思ったらバイクに轢かれた。
もっともっとあるけど、とにかくKの直感はよく当たった。
怖いくらいに。
で、志望校落ちた俺は偶然にもKと同じ私立の学校に入学した。
Kは県立と併願で受けてたけど、私立だけ合格したら県立の受験は受けなかった。
その年Kの受けなかった県立高校の前で発砲事件があった。
これもKの直感なのかもしれない。
Kはそのころから、段々色白になってさらに可愛くなってきてた。
儚げ、って言葉が似合う子だった。
ある日、冗談で卒業後なにやってるか予想しようぜ!って遊びしてたときに、Kがぽつりと言ったんだ。
K:「俺君は、パティシエになってそう」
K:「わたしは、そうだな、居なくなってそう」
その時はなんだよそれー、って笑ってたんだけど、俺は現在パティシエとして地元で働いてる。
そしてKはというと、高校卒業して数ヵ月たったとき、ふと失踪した。
そうだな、一年半くらいは行方不明だった。
結局無事に見つかったんだけど、見つかった場所が俺らの県からスゲー離れてたから、どうやってあんな場所まで行ったんだって大騒ぎになった。
Kはというと、会ったときはさらに色白になってて微笑んで、「俺君、久しぶりっ」て笑ってた。
んで、こないだ同窓会があったんだ。
Kも来てて。
Kの失踪事件とかの話で盛り上がって、また仲良いメンバーの一人が「これからの俺達予想しようぜ!っ」て言ってきた。
みんなが次々に「こんな風になってそう~」、とか予想出したあと、ぽつりとまた、高校の時みたいにKが言ったんだ。
K:「俺君はお店出してそう」
K:「○○ちゃんは看護師さんかな」
K:「●●君は、子供たくさんできるよ」
K:「わたしは、死んでそう」
Kの直感が今度こそ当たらないようにって今も祈ってるところだ。