爺さんが太平洋戦争で体験した話。
ルソン?だかでジャングルを極限状態で移動していた。
病気や衰弱で死ぬ者も多かったらしい。
爺さんの部隊もかなりの死者が出ていた。
暗に人肉食のことも話してくれた。
その中のでも印象に残っていた話で、食料も弾薬もなくジャングルを彷徨い、見慣れない植物で命をつないでいる状態であった。
爺さんの友人も怪我をしてだいぶ衰弱している状態であった。
まだ部隊についてこれる状態であったが、時間の問題に見えた。
友人は左腕を負傷し、布で腕を吊っている。
傷口が化膿しているのか臭いがきつい。
しかし、そんなことを気にしていられる状況ではなかった。
友人は休憩中に少し離れて傷の手当てをしていた。
爺さんは衛生的とはいえないが、友人のものよりいいだろうと自分のゲートルを渡そうとした。
すると友人は何かを囓って(かじって)おり、よく見ればそれは自分の左腕だった。
肘より先はほとんど肉はなく、甲の部分は骨すら無かった。
友人は爺さんに気付いて泣きそうな顔になっていたらしい。
気付いたのは爺さんだけで、他の部隊員には結局話さなかった。
2日後、友人は行軍についてこられず置き去りにされた。
友人を置き去りにするのはどうしようもなかったと言っていた。
爺さんはあの状況から生きて帰ってこれてよかったと何度も言っていたよ。