自分が助かったかは未だに謎

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

いつものように駅のホームで電車を待っていた。
電車待ちの列に並んでいると、後ろからトントンと肩を叩かれた。
振り返って見ると変な格好の人がニコニコしながらこっちを見てた。

その人、今時居ないような格好をしていた。
紳士服にシルクハット。
見た感じは40~50歳ぐらいの男性だったが・・・どう見ても変人に見える。
映画とかならまだしも、日常でこんな格好の人がいるハズない。

ヤバイなぁ・・・朝から変な人に捕まっちまったか・・・。

そう内心思いながら「僕に何か用ですか?」と言ってみた。

男性:「これが落ちてたんですが、あなたのではないかと思って。」

そう言いながら、その人は手をグーの格好にしながら前にだした。

えっ・・・?

自分が何か落としたのか・・・と思い「あっ、すいません・・・」と恐縮しながら自分はその人の手の下に自分の手を出した。

男性「今度は落とさないように。」

そういいながらその人は手を離した。

「はい、すいま・・・あれっ?」

自分の手の中には何もなかった・・・。

意味が分からず、「あのっ・・・」と言いいながら目の前をみたら、その人は消えていた・・・。
自分の目の前では小太りの中年男性が新聞を読んでいた・・・。

??幽霊??
朝から幽霊か?

キツネに抓まれたような感じだった・・・。

何なんだ・・・と思い前を向き直した。

ズキンッ!!!!!!!!!!

急に頭が痛くなった・・・。

頭痛か?

割れそうに痛い・・・。
吐き気も催してきた・・・。

うっ・・・ダメだ・・・。

電車の列から抜け出して、駅のトイレに駆け込んだ。

嘔吐した!

何故か分からないが急に気持ち悪くなった。
それから、しばらくトイレの個室に入っていた。
1時間後、ようやく体調が回復した。

トイレから出てみると辺りがどよめいていた。

何かあったのか?

駅員さんに聞いてみると電車が事故を起こしたらとのこと。
列車に人が轢かれたんだろうと・・・そのときは思っていた。
でも、実際はもっと重大な列車事故が起こっていた。

尼崎列車脱線事故。
自分が乗ろうとしていた電車だった。

今でも、あの人が自分に手渡してくれたモノは『命』だったんじゃないか思う。
でも・・・何故自分が助かったかは未だに謎。
普通の一般人だし。

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