メンヘラ女だと気づかなかった

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

去年、友だちと何人かで飲んでて知り合った女がいて、「学校卒業して家引き払ったんだけど、漫画家に成りたいから漫画描いて稼げるようになるまで少し間、泊めて欲しい」と言って家に押し掛けられ、友人の知り合いの手前なので家賃半分だすって事で渋々了解した。

特定の彼女も居ないし進路決めるって大事な事だし、休み位しか家に居ないから力になってあげよう。って思った。

それから家に来て(荷物は紙袋2つ)しばらく漫画?らしき物を書いているらしく、僕が仕事から帰ってくると頑張ってる様なので飯を作ってやったりして応援してあげた。

何日か経って、「漫画出来たの?見せてよ。」って言っても「まだネームだから」といって中々見せてくれない。

その女Sはだんだん昼間寝て夜カリカリ漫画を描くようになって僕の机が日に日にインクで真っ黒くなっていった。

その女も日に日に手とかインクで汚れてきてて、何度も風呂に入れって言っても、「分かった」って言うのだが全然入らない・・・。

また何日か経ち、3日振りに朝家に帰ってみると、Sが「出来たー!」といって部屋から出て来て吃驚した。

手とか顔がインクで真っ黒に成り、頭もぼさぼさで僕の部屋に来て、目玉をむき出しながら、「見てよ!見てよ!」ってニコニコしながら言ってくる。

真っ黒に汚れた茶封筒の中から原稿を覗いてみると、なぜか黒い紙がぎっしり詰まってる。
思いきって出してみると・・・。

原稿は黒のインクでぎっしり意味の解らない言葉や名前でうめ尽くされていて・・・絵らしき物は一枚も描かれて無い。

Sは俺の顔を覗き込んで「どう?」どう?ってニコニコしながらしきりに聞いてきた。
本当に泣きそうだった。

なんて言って良いのか・・・とりあえず「いいよ。面白いんじゃ無い?」って言うと「一生懸命描いたんだ!今から持って行くんだ!」と言ってそのまま戻って来ませんでした。

友人に聞いたら親から捜索願いが出されてて、他の友人の家に例の物を見せに行ったところで、家に連絡。

実家に送還されて今も通院してるそうです・・・。

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