ふすまの指

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

塾講師やってんだが生徒が変な体験したらしい。

バレンタインデーの朝、通学路を歩いてたらいつもすれ違う他校の女子生徒(顔だけしか知らない)からいきなりチョコを渡され告白されたんだって。

その教え子も女の子だから相当ビックリして、返事は「次の日に・・・」みたいに曖昧にしたんだと。
そして、知らない人から貰ったものは例え同性でもちょっと怖いということで、チョコも食べてなかったそうなんだ。

その夜、明日どうすっぺかなーと思案するうちに寝てしまったそうだが、ふと目が覚めるとふすま(その子は和室でひとりで寝てるらしい)がガタガタって動いてたんだって。

え?????ってなってしばらくすると、少しだけふすまが開いて常夜灯に照らされたその隙間から、一本指が出てきたらしい。
で、他の三本の指が、もぞもぞって出てきてふすまの縁に指を掛けてきやがった。

直感的に「朝の子だ!」と思ったんだが、なんか無性に腹が立ったらしく、指を睨み付けながら有りとあらゆる暴言を心の中でとなえつづけたそうな。

しばらくすると指は居なくなるどころか、ゆっくりとふすまを開けてきた。
彼女はその時になって初めて恐怖を感じた。

それが10センチほど、奥の暗闇に潜んでいるであろうモノが見えるか見えないかぐらいの所まで開いた所でとうとう彼女は意識を失い、気付いたら朝だったそうだ。

なんとなく気分が優れず仮病を使い、少し気分がよくなったという体で三時限目から登校したので、例の女の子には出会わなかったが、月曜日からどうしよう?と笑いながら話してくれた。

しかし、それから”チョコを渡してきた女子生徒”には一度も会ったことないらしい。

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